産資・不織布 通信 (87)泉工業

2021年11月22日 (月曜日)

ラメ糸を資材分野にも

 ラメ糸製造卸の泉工業(京都府城陽市)は衣料分野ではラメ糸に関するコンサルティング機能を持つ〝相談できるラメ糸メーカー〟として存在感を高めているが、早くから産業資材分野でも実績を重ねてきた。「これまでラメ糸が使われていなかった分野に入っていくのが当社の基本戦略。資材用途もその一つ」と福永均社長は話す。

 ラメ糸の製造には樹脂フィルムの着色・接着などさまざまな化学的工程がある。そこで培ったノウハウを生かして約30年前に参入したのがシールの接着面を保護する剥離シートのシリコン加工。当時は封筒の封緘(ふうかん)用が主な用途だった。

 シリコン加工は専用設備が必要なことからリスクの大きい参入だったが、その後の宅配便普及に合わせて送り状シール向けなどで剥離シートの需要も拡大した。「時代の波にうまく乗れた事業だった」と振り返る。シリコン加工は現在でも同社の売上高で一定の比率を占め、業績を下支えする。

 自動車用途でも実績がある。その一つがレース用シートベルト。意匠性を高めるために使われる。2000年代後半にはF1マシンにも採用され、最大3チーム、計6台のF1マシンが同社のラメ糸を使ったシートベルトを採用していた。

 現在でも自動車内装材に向けた提案を進めており、高級車で採用された。自動車内装材はホルマリンフリーが絶対条件となっている。キャビンの緊密性が高いため使用する材料には揮発性有機化合物(VOC)を避ける必要があるためと考えられる。ところがラメ糸は通常、着色・接着など製造工程で有機溶剤を使用するためVOC対策が極めて難しい。この課題に対して同社は独自の製法でホルマリンフリーのラメ糸を開発していることが自動車内装材用途での採用につながった。

 現在、さらに力を入れているのがカーテン、カーペットなどインテリア用途。カーテンに対しては主力の後加工対応ラメ糸「ジョーテックス」の難燃タイプを、カーペットには高耐久ラメ糸「タフテックス」を提案している。特にカーペットはさまざまな耐久性試験をクリアする必要があり、これに対応できるラメ糸は少ない。

 自動車は今後、EV(電気自動車)化によって内装の意匠性の重要度が高まることが期待できる。カーペットも25年の大阪・関西万博やIR(統合型リゾート)をきっかけに意匠性を求める動きが加速する可能性がある。これを追い風にラメ糸の採用拡大を目指す。

 資材分野は取引先との取り組みでスペックインすることが不可欠だが、ラメ糸メーカーの多くは見本帳による備蓄販売が中心のため、こうした開発・提案は難しい。泉工業は蒸着以外の着色・接着、スリット、撚糸の一貫生産の強みを生かし、資材分野でも〝相談できるラメ糸メーカー〟として用途開拓に取り組む。

(毎週月曜日に掲載)