特集 アパレル22春夏~ウイズコロナ下のファッション~(1)/ウイメンズ編/オンワード樫山/三陽商会/ルック/小泉アパレル

2021年11月24日 (水曜日)

 大手アパレル企業が打ち出す婦人服で、ビジネス対応、お出掛け着の提案が増えてきた。22春夏シーズンは、イージーケアを軸とした機能素材のスーツやセットアップ、鮮やかな色柄のワンピースが展開される。紳士服もスーツやセットアップが増えるほか、パターンオーダー(PO)の受注増を見込むブランドもある。一方で、新型コロナウイルス禍前の2019年度と比較し、婦人・紳士服とも仕入れ量は70~85%程度に絞り込む。追加生産はクイックレスポンス(QR)で乗り切る考えだ。

〈オンワード樫山「23区」/デニム商品を拡充〉

 オンワード樫山が展開する婦人服「23区」は、22春夏シーズンのトレンドに浮上しているデニム商品のカテゴリーを強化する。同社では「今の時代に合わせ、軽い素材でセットアップでも着用できる新たなスタイリングを提案したい」と説明している。

 欧州や東京のファッション・ウイークでも、ジーンズやデニムジャケットを採用したスタイリングが見られ、以前よりも加工感のあるタイプが増えてきた。そこで「トレンドの追い風もある。デニム商品のバリエーションを広げる」とした。

 そのほかにも、オン・オフで着回せる羽織りアイテムを拡充。ロングシルエットのカジュアルコートをはじめ、既に店頭で動き始めているブルゾンタイプのアウターを来春にも投入する。生活スタイルが変化する中で、汎用性の高い商品を増やす考えだ。

 人気を集めている“エディターズコラボ”のアイテムを継続し、マザーニーズに対応。こちらも汎用性を重視し、協業商品の提案力で「売り上げ拡大を目指す」としている。

〈三陽商会「エポカ」/企画の軸は“ラ・マリア”〉

 三陽商会が展開する婦人服「エポカ」は、カジュアルウエアの品番を減らし、ビジネスやセレモニー企画を増やす。手洗い可能なテーラードジャケットやスカート、加えて上質ニット素材のセーラーカラードレスやボーダー柄のプルオーバーを投入する。

 企画を担当する同社の森雅史氏は「ニットウエアのトータルコーディネートシリーズ“ラ・マリア”を前面に打ち出す」と話す。ラ・マリアは、ベーシックなマリンテイストのデザインでまとめている。ニットでは難しいとされる立体的なフォルムとエレガントなドレープ感を融合した。

 エレガントな中にも「強いイメージを盛り込み、ラ・マリアでビジネス需要も対応できる。エポカの顧客は華やかさを求める傾向がある」とした。今年に入りビジネス需要は減ると予測したが、ジャケットやニットウエアを狙って来店する顧客が増えている。

 来春の「スプリングコート商戦にも期待したい」とし、自社工場のサンヨーソーイング青森ファクトリーで縫製した、ドレス感覚で着用できるトレンチコートも提案する。

〈ルック「スキャパ」/ライトアウターに妙味〉

 ルックが展開するベルギー発の婦人服「スキャパ」は、ニットジャケットやショートコートの品番数を増やすほか、ライト感覚のアウターを強化する。リネン素材のニットジャケットやデニム素材のコート、ウールの小花柄セットアップが代表的なアイテムになる。

 22春夏シーズンのテーマは「ラ・ヴィ・アン・ローズ」(バラ色の人生)で、スペインの画家、ホアキン・ソローリャの作品から着想したパステル、ブライトカラーを盛り込んでいる。同社では「カジュアル商材を強化する。その際、スキャパらしい素材や単品を採用している」と説明した。

 サマーツイード素材のダッフルコート、英国調のチェック柄を使ったライトジャケット、ボタニカルプリントを採用したアイテム群も特徴。シックなカラーと力強いプリントを合わせ、ベルギー発のクラシックなイメージを訴求する。

 デニムやチノクロスといったカジュアルな素材を使い「カジュアルコーディネートの幅を広げた」と言う。来年4月には綿や麻アイテムにクラフト感のある刺しゅうを施し、盛夏物の商品にリンクさせる考え。

〈小泉アパレル「エレメントオブシンプルライフ」/強みのジーニングカジュアル磨く〉

 小泉アパレルが展開するGMS向けカジュアルブランド「エレメントオブシンプルライフ」は、強みのジーニングウエアが好調に推移している。旧レナウンから事業譲受され、約1年が経過。小泉グループによるローコスト経営が浸透し、コア商品であるジャージー素材を使ったトップスとボトムスがリード商品になっている。

 1年前と比較し、素材や色数を厳選し、品番数を絞り込んだ。ブランドの運営管理を少数精鋭で回すことで責任の所在を明確にした。経営判断のスピードもアップし、結果的にプロパー消化率が上がっている。総プロパー消化率は9割を超え、特に婦人服が好調。同社の堀田達哉参与は「特に主販路であるイオングループやイトーヨーカドー、イズミは総じて動きが良い」と話す。

 店頭ではチェニック丈のダンガリーシャツや同素材のワンピース、ブラックジーンズなどが売れ筋になっている。22春夏シーズンにおいても「コア商品をブラッシュアップする。ジャージー素材のアイテムにも期待している」と説明した。