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特集 アパレル22春夏~ウイズコロナ下のファッション~(3)/シャツ・素材・副資材編/フレックスジャパン/YKK/山喜/JUKI/太陽繊維/レンチング

2021年11月24日 (水曜日)

〈フレックスジャパン/ニットアイテムをそろえる〉

 フレックスジャパン(長野県千曲市)は、ニットアイテムの展開を強化する。新型コロナウイルス禍が落ち着きを見せる中、オフィスワークはある程度回復すると予想するが、着用快適性を求める声は変わらないと捉えるためだ。22春夏ではトリコットのドレスシャツや丸編みのTシャツなどを訴求する。

 トリコットのドレスシャツでは、21秋冬物で展開を始めた「コンフォートコントロール」を重点提案する。日清紡テキスタイルと共同開発したポリエステル100%生地で、防汚と抗菌・防臭、制菌加工を施している。これによって「袖や襟の皮脂汚れが落ちにくい」「臭いが気になる」という問題を解消している。

 丸編み地を使った商品も投入する。トリコットと比べて通気度や伸縮性に優れている。形態安定性や抗菌、吸水速乾などの機能も付与した。綿・ポリエステル混紡糸を使ったTシャツも用意している。

 自社ブランドで販売する商品のうち、ニットは21春夏では全体の約2割だったが、22春夏企画は4割程度に増やした。

〈YKK「コンシールファスナー」/シリコン被覆で意匠性向上〉

 YKKの「コンシール」ファスナーは、ファスナーを閉じたときにエレメント(務歯)が表面に出ないタイプ。ファスナーが目立たないため、デザイン面でのメリットが大きく、婦人のスカートなどに採用されてきた。近年は、スポーツやアウトドアにも用途を広げている。

 このコンシールで打ち出しを強めるのが、艶感のあるシリコンを一部に塗布しデザイン性を高めた「シリコン被覆タイプ」で、コンシールの新しい見せ方を可能にした。

 フードの出し入れ部、ジャケットのポケット、ランニングポーチの開き口といった用途に向けて提案する。

 サイズはNo.3で、基準色はブラック、ホワイト、レッド、ネービー、カーキの5色。

 取り付けの際は、熱圧着のみではなく、縫製と組み合わせた方法を推奨する。

 同商品については、ウェブ上で開催中の「YKK ファスニング・クリエーション for2022」でも紹介している。商品説明の動画も掲載しており、着用シーンなどが確認できる。

〈山喜/時代の流れに応じて提案〉

 山喜は、時代の流れに応じたシャツの展開に注力する。特に夏場は快適な着用感を求める声が大きくなっているとし、“リラックススタイル”に対応するドレスシャツなどの提案を増やす。その一環として22春夏はニットシャツ(トリコットと丸編み地)のバリエーションをかなり広げる。

 ドレスシャツ市場は、緊急事態宣言とまん延防止等重点措置が解除されて以降徐々に回復していると捉えるが、「平時には戻っていない」と話す。そうした状況下では従来と同じ商品では消費者の購買意欲は動かないとし、時流に合った商品の提案で需要喚起を図る。

 重点訴求するのがニットドレスシャツだ。色・柄に加えて、デザインや着用シーンを含めてバリエーションを拡充する。襟立ちが奇麗な仕立てとするなど、シャツメーカーならではのモノ作りで差別化を図る。襟のバリエーションや機能も要望にも応える。

 織物シャツでは機能を重視し、形態安定(ノーアイロン)をベースに吸水速乾や接触冷感などを付与する。環境対応にも目を向ける。

〈JUKI「DDL―9000C」/IoT活用次世代ミシン〉

 JUKIは、モノをインターネットにつなげるIoTを活用し、データ転送を容易にした世界初のダイレクトドライブ高速1本針本縫自動糸切りソーイングシステム「DDL―9000C―FMS」を次世代ミシンとして打ち出す。アパレル縫製工場で使用される多品種の素材ごとに最適な縫い目を記憶させることができる上、同一条件での再現を容易にする。

 上下水平駆動のデジタル送り機構により、送り歯高さが簡単に調整でき、縫製品の生地に合わせることで縫い品質を高められる。この機能によって残短糸切りをオンの状態にすると、送り歯を下げて糸切りを行うため、針板と生地のすき間がなくなり、糸残り長さが安定する。針棒上停止位置で送り歯高さが凸にならないため、縫い素材の出し入れがしやすく傷も付きづらくなった。

 縫製品に合わせたミシン調整データは、市販のアンドロイド端末を使って、非接触でデータ転送や編集ができる。こうした機能によって、縫製ラインのミシンは一律のデータ設定や状態の確認を素早く行えるようになり、段取り替えも簡易にする。

〈太陽繊維/ドレスと脱ドレスの両面充実〉

 紳士シャツ生地商社の太陽繊維(大阪市中央区)は、ドレスシャツ市場に主軸を置きながら、最近の“脱ドレス”という流れに応じた生地の提案も充実している。その一つとしてプリント生地などを打ち出しているが、中でも21秋冬物から展開を始めたニットシャツ地が顧客から良好な反応を得ている。

 ニットシャツはストレッチ性やイージーケア性といった特徴を持つ。同社は綿100%や綿・ポリエステル複合のシャツ地(丸編み地製)などをそろえ、ポリエステルについては吸水速乾性に優れた「クールマックス」を使ったタイプも用意する。色と柄のバリエーションも豊富だ。

 学生服でもニットシャツが増え、将来的にビジネスシャツもニットが主力になる可能性があるとして展開を始めたが、新しい商売にもつながっていると言う。

 主力のドレスシャツでは、厳選したエジプト綿(100番双糸や120番双糸)を使用した生地などが好評。のりを付けずに製織するため風合いや肌触りに優れている。静岡県浜松産地で作る。

〈レンチング/マットな「テンセル」登場〉

 レンチングの精製セルロース繊維「テンセル」リヨセルに新しくマット(艶消し)タイプが登場した。インディゴカラーで染めた際に深く光沢のない色調が可能になるため、まずはデニム向けに提案を開始した。

 テンセルは植物由来原料使用し、生分解性がある。このため同社は独自のクローズド方式生産プロセスも合わせて環境負荷の小さい再生セルロース繊維として幅広い用途に打ち出している。

 一方、テンセルは光沢が特徴だが、デニム分野からは光沢感のない色調を求める声が上がっていた。こうした要望を受けて同社は生産プロセスの工夫でマットテンセルの開発に成功した。

 テンセルの吸放質性や滑らかな肌触りなど快適性を維持したまま、インディゴカラーで染めた際に深く光沢のないデニムらしい色調が可能になる。通常のテンセルと比べてコットンライクな風合いになることもデニム用に適しているとする。

 既に中国やパキスタン、インド、トルコ、スペインなどのデニムメーカーが採用に動く。新たなトレンドを作る原綿として注目が高まる。