繊維ニュース

特集 抗ウイルス・清潔・衛生(4)/客観的評価で信頼を支える/検査機関/カケン/QTEC/大和化学工業・評価技術センター

2021年11月25日 (木曜日)

〈抗ウイルス試験バイオラボで/来年1月に受託開始へ/カケン〉

 カケンテストセンター(カケン)は今年4月、東京事業所川口本所(埼玉県川口市)にバイオラボを開設した。マスクや抗菌性試験で稼働を開始したが、抗ウイルス試験についても準備を進めている段階にある。2022年1月に繊維関係で試験の受託を始められる体制を整えるとしている。

 マスクや抗菌性、抗ウイルス試験は大阪事業所の生物ラボ(神戸市)で行ってきたが、バイオラボが立ち上がったことで対応力が高まった。抗ウイルス試験は数年以内に開始するスタンスを取っていたが、旺盛な需要が続いていることから前倒しする。これによって納期を短縮することができる。

 試験には高い技術が求められるが、人員も投入した。試験に必要な機材は既に導入済みで、現在は生物ラボとデータの擦り合わせを行っている。カケンは「マスクと抗菌性の試験を稼働しながらの準備になるが、予定通り来年にスタートを切れる」と話す。

 バイオラボでの抗菌性試験では、黄色ブドウ球菌とモラクセラ菌の2種に対応しているが、需要があるという肺炎桿菌や大腸菌にも広げる。こちらも当初よりも早めに取り組むことになった。来年度以降も需要を見ながら対応菌種を増やす方針で、MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)などを候補に挙げる。

 抗ウイルスを中心に「納期の短縮が一番の目標」とするほか、依頼者・顧客のニーズに合わせて柔軟に対応できる体制を整えることが課題と捉えている。その一環として、将来的には抗カビ試験も始めるなど、着実にステップアップを図る。

〈微生物に強い試験機関へ/神戸のラボの対応力向上/QTEC〉

 日本繊維製品品質技術センター(QTEC)は、新型コロナウイルス禍による抗ウイルス試験や抗菌試験の需要増に積極対応している。西日本事業所神戸試験センターのラボの増床と設備増強で納期を従来の約半分に短縮した。今後も機能を強化し「微生物関連ならQTEC」といわれる存在を目指す。

 抗ウイルス試験や抗菌試験の依頼について「件数はまだかなり多いが、QTEC自身にノウハウが蓄積されたことで少しずつ“落ち着いて”きた」と話す。ラボの増床・試験設備増強に加え、人員の拡充で対応力を高めた。これによって旺盛な需要が続く中で納期短縮を実現した。

 抗ウイルス試験は新型コロナウイルスにも対応し、抗菌試験は黄色ブドウ球菌やモラクセラ菌、大腸菌などが中心。空調フィルターやパソコンのキーボードをはじめとする電気製品、液剤、プラスチック製品を中心に非繊維分野も増えている。

 非繊維分野は増やすが、同時に繊維分野も維持・拡大する。繊維分野では衣料品だけでなく、壁紙やカーテン、カーペットなども手掛けていきたいとしている。抗菌についてはニーズを見極めながら対応可能な菌の種類を拡充する。

 防護服の血液バリア性試験やウイルスバリア性試験などの拡大も進める。清潔や衛生に関連する試験では抗カビも一定の需要を確保している。オペレーター、スタッフの育成にも力を入れる。

 こうした取り組みを通じて「微生物関連試験イコールQTECという流れを強く」するとともに「信頼の証しとしてQTECの名前が出るようになればいい」と強調した。

〈抗ウイルス試験の体制強化/防虫試験も拡充へ/大和化学工業・評価技術センター〉

 公的試験機関である大和化学工業・評価技術センター(大阪市東淀川区)は、注目が高まる抗菌性、抗ウイルス性に関する評価試験体制を増強した。今後は防虫などの評価体制も拡充していく考えだ。

 繊維加工剤製造の大和化学工業の評価技術センターは、2009年から産業標準化法に基づく試験事業者登録制度(JNLA)に認定・登録され、公的試験機関として外部からの試験を受託している。大和化学工業の商品について試験・評価を行う性能評価部とは設備・人員とも分け、営業活動とは切り離して運営されている。

 JIS(日本産業規格)に基づく抗菌性やカビ抵抗性などの証明書を発行でき、SEK(繊維評価技術協議会)、SIAA(抗菌製品技術協議会)の抗菌マークや日本衛生材料工業連合会の抗菌・除菌マークへの対応が可能。21年8月から新たにSIAAの抗ウイルスマーク指定検査機関認証を取得した。

 試験内容は抗菌、抗カビ、抗ウイルス、防虫、抗アレルゲン、消臭を柱とする。足元では特に抗菌や抗ウイルスの試験依頼が増えている。このため、5月に評価設備を増強し、人員も増やした。抗菌試験も依頼数が約3倍に増えていることを受け、対応力を3倍に高めた。今後は防虫試験受け入れ体制も拡充する予定。防蚊性試験は腕巻き法と吸血誘引試験が可能で、市場からの注目も高まっている。