明日へ これが我が社の生きる道~縫製編~(36)湯峰ソーイング

2021年11月26日 (金曜日)

海外生産でも日本品質維持

 湯峰ソーイング(岐阜県飛騨市)は婦人衣料を中心に幅広いアイテムの縫製を手掛ける。海外生産に大きくかじを切り現在はベトナム工場での生産を中心とするが、海外工場でも日本品質の高い縫製技術で顧客から支持を集める。こうした強みを生かしながら政井一哉社長(43)は「今後は欧州をはじめとした高級ゾーンへ供給したい」と意気込む。

 1975年、岐阜の奥地にある山々に囲まれた河合村(現・飛騨市)で創業した。当初はブルゾンやジャンパーの縫製を手掛け、その後はカジュアルやフォーマルパンツなどアイテムを徐々に増やしていった。海外生産へシフトし現在は中国とベトナムに各2工場ありスタッフの総数は2千人を超える。

 初の海外進出は92年。時代の流れに応じ大量生産に対処する目的で中国江蘇省の南通市に第一工場を設立。その後は多品種小ロットのニーズに対応するため2005年に同じく江蘇省に第二工場を立ち上げた。中国での人件費が上昇する中、ベトナムへ進出し00年タイビン市に第一工場、11年にはゲアン省に第二工場をそれぞれ設けた。

 一時、国内と海外の両方で生産していたが00年ごろに国内生産からは撤退。しかし〝メード・バイ・ジャパン〟の精神の下、地道に続けていた海外工場への技術指導や連携などが実を結び始め現地の縫製技術は向上、海外でも高い品質を維持できるようになった。政井社長は「国内と品質が変わらないものができる」と強調する。

 政井社長は19年11月に現職就任、その直後に新型コロナウイルス禍が直撃した。スポーツやアウトドア、カジュアルなどへ受注の変化が見られる中で、そうした変化にも迅速に対応。織物のオールアイテムが縫製できる対応力や適応力といった同社の強みを生かすことで、この難局を乗り越えようとしている。

 最近では高品質な商品を手軽でリーズナブルに消費者へ届けようと、婦人パターンオーダースーツの自社ブランド「ジュエディ」も立ち上げた。スマートフォンで写真を撮影するだけで採寸ができる次世代採寸システム「ワン・メジャー」を採用しており、消費者が自宅にいながら簡単にオーダースーツの採寸、注文、購入ができるようにした。

 今後は欧州向けをはじめとした高級ゾーンのアパレルや小売りにも目を向ける。国内向けだけでは端境期を埋めることが難しいためだ。「日本の良い生地を使い、日本式の良い縫製を生かして供給できれば」。飛騨から始まった縫製工場はさらなるグローバル展開を見据える。

(毎週金曜日に掲載)

社名:湯峰ソーイング株式会社

本社:岐阜県飛騨市古川町沼町650の5

代表者:政井 一哉

主要生産品目:婦人衣料全般(織物製)

従業員:本社15人、ベトナム2工場1750人、中国2工場450人