繊維ニュース

旭化成 エアバッグ用ナイロン66/コンパクト化に対応/再度の値上げ検討

2021年11月30日 (火曜日)

 旭化成はエアバッグ用ナイロン66事業で、エアバッグトータルをコンパクト化する開発を強化するとともに、原燃料価格の動向を見据えた上で高止まりが続けば再度の値上げを検討する。

 今後、自動運転の普及によってエアバッグが搭載される部位が増えるとともにエアバッグの形状変化が見込まれるため、次世代型エアバッグに向けた原糸、基布の開発に改めて力を入れる。

 コンパクト化を求めるニーズがさらに高まるとみており、原糸の細繊度化や汎用の350デシテックス糸を織布の工夫でコンパクト化する開発に取り組む。

 旭化成アドバンスのエアバッグ縫製ベトナム子会社である旭化成アドバンス・ベトナムは新型コロナウイルス禍で当初、計画よりも多少、遅れ気味で推移するものの、「受注活動を精力的に進めており、順調に伸びる」との認識を示す。運転席用を中心に縫製しており今後、助手席用やカーテンエアバッグへも広げる。

 同社は2021年度が中期経営3カ年計画の最終年度。ナイロン66「レオナ」では21年度上半期、新型コロナウイルス禍前の19年度上半期を上回る販売量を確保したと言う。

 しかし、下半期に入り半導体不足による自動車業界の減産が直撃。減産がなければ「販売量で計画通りの実績を確保できた」(長岡利郎レオナ繊維営業部長)とみる。

 一方、原燃料の急騰に伴い利益面で苦戦を強いられており、2月から3月にかけて値上げを実施したが、もう一段、原料が高騰するのであれば再度の値上げを検討する。

〈旭化成/環境貢献製品売上比率50%へ/サステ投資枠も設ける〉

 旭化成の小堀秀毅社長は29日、オンラインで会見し、2050年のカーボン・ニュートラルへのロードマップを示した。既存の取り組み強化のほか、新技術・事業の創出で目標達成につなげるとし、環境貢献製品の売上高比率は現在の30%から50%に高める。サステイナビリティーに関する投資枠も設ける。

 同社は30年に温室効果ガス(GHG)の排出量を13年度比で30%以上削減し、50年にカーボン・ニュートラルを目指す。GHG排出量は20年時点で389万㌧だが、自家発電低炭素化や購入電気非化石化、事業ポートフォリオ転換などの既存技術を用いて、マイルストーンとなる30年に360万㌧未満とする計画を立てている。

 この中の自家発電低炭素化(再生エネルギー活用)では水力発電や太陽光発電の利用に目を向けている。九州地区を中心とする水力発電所の更新と能力増強を図る方針で、グリーンボンドの活用も検討している。太陽光発電では自社工場のほか、22年4月に東京本社での利用も始める。

 事業成長と環境貢献の両立のため、環境貢献製品の比率を、ヘルスケア領域を除いた全社売上高の半分に高める。現在はリチウムイオン電池用セパレータ、イオン交換膜法食塩電解プロセス、ヘーベルハウス・へーベルメゾンなどが軸となっている。ここにCO2分離・回収技術をはじめとする新技術・事業などを加える。

 サステイナビリティーやデジタル技術で企業を変革するDXに関する投資枠も設定する。小堀社長は「22年度(23年3月期)に次の中期経営計画が始動する。次期中計で行う全体の投資の中でサステイナビリティーやDXでどれだけ占めるかは改めて明示する」と話した。

 価値源泉の基盤としてDX、知財、人財などに重きを置く。DXでは全従業員向け学習システムをスタートし、知財による価値創出ではIPランドスケープを活用して新事業創出に向けた取り組みを実施。人財強化では高度専門職制度で育成を図っていく。