JFW―JC&PTJ(3)/アフターコロナ見据え、熱い商談に期待/宇仁繊維/サンコロナ小田/ササキセルム/名古屋紡績/豊島/古山

2021年11月30日 (火曜日)

〈宇仁繊維/スポーツとエレガンスを融合〉

 宇仁繊維(大阪市中央区)は22秋冬に向けて、「ニューエレガンス」「リラックスエレガンス」「プレイフルモダン」「プリント」「サステイナブル」という五つのテーマで新作服地を訴求する。

 売れ筋になりそうなニューエレガンスでは、機能的でスポーティーな生地を打ち出す。各種ポリエステルタフタを取りそろえるほか、肌触りが良くしなやかなシルエットを出せるセルロース生地を提案する。

 11月に開催した名古屋、東京、大阪の個展は大勢の来場者でにぎわった。国内を代表する有名アパレルブランドも多数訪れ、商談が進んだ。注目されたのは新作生地に加えて同社のQR機能。備蓄力とともに、子会社や協力工場を駆使したスピード感が脚光を浴びている。この流れをPTJでの商談にもつなげる。

〈サンコロナ小田/最終製品提案に注力〉

 サンコロナ小田(大阪市中央区)ではPTJ出展を通じてファッションアパレルの開拓が進展している。今回展でも得意の合繊薄地織物を軸に新商品を打ち出す。

 再生ポリエステル100%のオーガンジーは透け感に優れつつも、生地表面のシボ感と光沢を抑えた仕上がりが特徴。透け感のあるオーガンジー風のポリエステル100%薄手トリコットオーガンジーも投入する。

 今回展では従来の生地ハンガーだけでなく、同社生地を使用した最終製品の比重を増やす。ウイメンズのプリーツスカート、ブラウス、ワンピース、ライトアウターなどを並べる。製品販売事業拡大の一環でもある。

 強みの「糸加工からの合繊薄地織物」をアピールし、新型コロナウイルス禍からの回復が見られるアパレル需要を取り込んでいく。

〈ササキセルム/色柄効かせて、非日常を〉

 ササキセルム(愛知県一宮市)はPTJで、ジャカードを中心に色柄を効かせて、非日常性や特別な感性を表現する。

 特に訴求を図るのはジャカード織機を使用した生地シリーズ。タムヤーンを使い千鳥柄に製織した生地は表情が豊かな仕上がりを見せる。表面の触り心地も柔らかく、優雅なイメージを醸す。

 モール糸を使い植物の柄に仕上げた“モールジャカード”もそろう。繊細な図柄が特徴で、仕立て映えを意識しハリ、コシを残すといったこだわりを具現化した。ほかにもコントラストが効いたシャギーの格子やストライプ、表面変化に富んだニット生地もそろえる。

 企画テーマは「サムシングスペシャル」。快適さを前提にしながら、デザイン性を付与する。今回展では、主に新たなデザイナーズブランドとの接点づくりを狙う。

〈名古屋紡績/女性向けにも浸透度深める〉

 名古屋紡績(名古屋市中区)は、自社ブランド「YA/E」(ヤエ)の女性向け需要を探り浸透度を深める。男性向けは過去2回のPTJ出展で新規獲得が進んでいる。

 ヤエが持つ4種類のテーマのうち、特に引き合いが多いのが粗野な表情を持つ「ビンテージ」だ。再生原料を使用した「サステイナブル」のシリーズも好評。今回展ではこの二種類のシリーズを軸に、訴求を図る。

 綿70%・ナイロン30%混紡糸使いのフライスはバルキー性とぬめり感を兼ね備える。奇麗めなデザインのトップスに向く。トルコ産オーガニックコットンを使った裏毛は表面が粗野でドライな印象を見せつつも、柔らかい肌触りを併せ持つ。

 独自の紡績ノウハウを最大限に生かし、生機の備蓄を行いながら顧客の需要に即応する強みを生かす。

〈豊島/インテリアや資材需要狙う〉

 豊島(名古屋市中区)はPTJで、廃棄予定の食材をもとに染料として活用するプロジェクト「フードテキスタイル」を提案する。アパレルや靴・雑貨向けで一定の認知度を獲得。インテリアや資材向けといった、より広範囲の需要を狙う。

 持続可能性のストーリー性付与が支持され、寝装・インテリア向けに加え、カーテンや椅子張り向けも展開済み。このほど、「コーデュラ」生地をフードテキスタイルの染料で反染めも可能にした。資材向けにも訴求を図りながら、ライフスタイルを具現化したトータルな商材提案の幅を広げる。

 トップ糸の新色も追加した。新たにジンジャー・ウコン・ローズ・センブリが加わる。従来は淡い色調が多かったが、秋冬を意識した深みのある色も追加。商品企画のコンセプトとの親和性向上も期待できる。

〈古山/遠州で加工し風合いこだわる〉

 古山(浜松市)は初めてのPTJ出展となる。綿やウールのほか、得意とするリネンの生地を提案する。市内の染工場による加工で風合いにもこだわった。製品サンプルも合わせて展示する。

 リネンとウール使いの生地は交織にすることでそれぞれの原料が持つ特徴を生かした。リネンはベルギー産を使用。遠州の染工場で加工した。

 綿とウール使いの生地はビエラと2重織りツイルの2種類を展示する。膨らみ感やウオーム感があるほか、豊富なカラー展開も特徴。ビエラは22色、ツイルは17色そろえた。これらの生地も加工は遠州。

 インドから仕入れた先染めの綿100%コール天も訴求する。同社によると、先染めでコール天は珍しいと言う。

 ほかにも、オーガニック綿やリネンといったサステイナブル素材もアピールする。