再編時代の商社繊維事業 21年4~9月期決算から(2)/利益面で明暗分かれる/伊藤忠商事/蝶理/日鉄物産/東レインターナショナル

2021年12月01日 (水曜日)

〈アパレル販売回復せず/伊藤忠商事〉

 伊藤忠商事繊維事業の4~9月期連結決算は、収益2095億円(前年同期比2・3%減)、売上総利益443億円(3・8%減)、営業利益43億8200万円(33・2%減)、純利益100億円(19・8%増)となった。

 自粛期間延長を伴う新型コロナウイルス禍の影響が継続し、アパレル関連事業の販売が回復へと向かわなかった。経費削減に努めたが、販売の停滞をカバーし切れず営業利益は大幅に減少した。

 しかし、経費削減や持分法投資損益の好転に加え、エドウインの固定資産売却益約10億円なども計上し、純利益は増加した。主な関係会社の損益は、ジョイックスコーポレーションが4億円の赤字、デサントとエドウインが11億円の黒字。

 通期は、新型コロナ禍による業績への影響が底打ちし、経費削減とEC推進の施策などにより純利益230億円を見込む。

〈繊維は増収も減益/蝶理〉

 蝶理の上半期(4~9月)連結決算は化学品市況の回復などがけん引し、売上高1300億円(前年同期比27・3%増)、営業利益48億円(3・0倍)、経常利益53億円(2・9倍)、純利益40億円(約15・2倍)の大幅な増収増益だった。

 繊維はスミテックス・インターナショナルの子会社化が一部寄与し売上高が512億円と17・6%増も、経常利益は15億円と13・7%減。前年同期に新型コロナ禍で大幅増となった不織布など衛生材料ビジネスが収束した影響を受けたほか、ベトナム縫製子会社の操業休止なども利益面で響いた。これらを除いた既存事業は増益だった。

 下半期は原燃料高騰による影響を懸念するも、通期で売上高2800億円、営業利益95億円、経常利益100億円、純利益68億円を見込む。

〈コスト増で経常損失/日鉄物産〉

 日鉄物産の繊維部門の4~9月期連結決算は、売上高466億円(前年同期比0・9%増)、経常損失1億9300万円だった。

 国内で緊急事態宣言が長期化し、消費の低迷で仕入れ抑制が続いた。ASEAN地域でのロックダウン(都市封鎖)に伴う生産工場の稼働率低下により、他地域への生産の振り替えでコストがかさんだ影響も大きく、経常損失を計上した。

 「リベンジ消費」が期待できる下半期以降は、国内需要の回復に対応できる生産体制の整備に注力する。

 繊維事業本部は22年1月に三井物産アイ・ファッションと事業統合し、新会社「MNインターファッション」が発足する。統合後は新ブランド、新規ユーザーへの拡販を強化する方針を打ち出す。

〈繊維中心に売上高が増加/東レインターナショナル〉

 東レインターナショナルの4~9月期決算(単体)は、売上高2732億円(前年同期比16・9%増)、営業利益58億8100万円(16・0%増)、経常利益76億6500万円(18・3%増)、純利益61億1800万円(28・6%増)だった。アパレル部門を除く繊維が順調で、増収増益を達成した。

 繊維の売上高は1238億円で6・5%増。衣料素材は衣料用ファイバーをはじめとする各部門が堅調に推移し、328億円で41・7%増えた。繊維資材・物資もおおむね底堅い動きを見せ、33・9%増の250億円。アパレルは659億円で11・3%減だった。大手SPA向けの受注減などが響いた。

 中期経営課題2年目の22年3月期は売上高と各利益段階で前期実績に届かないと予想。自販力の強化や新事業創出に継続的に取り組む。