再編時代の商社繊維事業 21年4~9月期決算から(3)/〝コロナ特需〟落ち着く/ヤギ/田村駒/旭化成アドバンス/ユニチカトレーディング

2021年12月02日 (木曜日)

〈既存事業が堅調推移/ヤギ〉

 ヤギの21年4~9月期繊維事業は、売上高が377億円(前年同期比5・0%増)、営業利益が3億6600万円(49・7%減)、経常利益7億7500万円(23・2%減)、純利益が5億9千万円(12・5%減)の増収減益だった。会計基準変更に伴い、前年同期比増減率は前年同期の数値を同様の基準に置き換えたもの。

 巣ごもり需要に対応した通販向け商材が健闘し、製品OEMを主体とするアパレル事業が13・6%増収。糸・生地のマテリアル事業もオーガニックコットン糸やインテリア向け原糸、丸編み地販売が好調で9・0%増収だった。ブランド・ライフスタイル事業は実店舗の苦戦などで18・1%の減収。

 経常利益の減少には、マテリアル事業、アパレル事業が共に増益となったものの、ブランド・ライフスタイル事業の減益が響いた。

〈アパレル向け販売不振続く/田村駒〉

 田村駒の4~9月期連結決算は売上高404億円(前年同期は487億円)、営業利益7億3700万円(前年同期比34・7%減)、経常利益8億5300万円(33・2%減)、純利益5億6900万円(28・2%減)だった。

 「収益認識に関する会計基準」などを期首から適用したため、前年同期からの売上高の増減率は非公表とした。旧基準でみると、全体として取扱高は増加した。

 景気回復の遅れの影響を受けた衣料部門とリビング部門は減少したが、生活関連資材と住宅関連資材がカバーした。ただし、利益率の低下によって各段階で減益となった。

 衣料部門、リビング部門、生活関連資材を合計した繊維事業の販売実績を新基準で算出した場合、318億円となる。衣料部門の取扱高は194億円。うち素材販売は39億6200万円、製品販売は154億5千万円。新型コロナウイルス禍で卸売り・アパレル向けの販売不振が加速し、縮小傾向が続いた。

 通期の同社連結業績は売上高830億円、営業利益20億円、経常利益21億円、純利益14億5千万円を見込む。

〈アウトドア関連で需要回復/旭化成アドバンス〉

 旭化成アドバンスの4~9月期決算(単体)は、売上高270億円、営業利益7億5千万円だった。新型コロナウイルス禍の影響があったものの、繊維事業、樹脂化学品、建材事業ともに増収(新収益認識基準適用影響除く)増益に転じた。

 マスクや防護服などの防疫資材の勢いは減じたものの、国内ファッション衣料系は、特にアウトドア関連需要の回復がけん引して各用途ともに回復。海外の連結子会社は中国と北米が増収増益、タイとベトナムは車両生産遅れの影響があったが増収を確保した。

 今年度は中期3カ年計画の最終年度となり、サステイナブル(環境・省人化)、メディカル・ヘルスケア(健康・安全)、車両関連などの重点領域の強化を重視した施策を進める。

〈営業損失計上/ユニチカトレーディング〉

 ユニチカトレーディングの4~9月期連結は売上高122億円(前年同期比36・1%減)、営業損失1億円(前期は2億円の利益)、経常損失1億円(2億円の利益)、純損失1億円(1億円の利益)となった。

 新型コロナ禍に伴い発生した厚労省からの医療用ガウンの大量受注がなくなったため大幅減収となり、各損益が赤字となった。

 主力のユニフォームに回復の兆しが見られたもののスポーツ、婦人服地、寝装向けが低迷。非衣料・産業資材は増収増益。

 インドネシア・ユニテックスは上半期が黒字、下半期も黒字の見通し。大阪染工は下半期以降、「ほぼコロナ前の状況に戻る」見通しとなった。

 通期では売上高255億円(28・1%減)、営業損失3億円(5億円の利益)、経常損失3億円(5億円の利益)、純損失2億円(3億円の利益)を見通している。