再編時代の商社繊維事業 21年4~9月期決算から(4)/糸販売に回復見られる/東洋紡STC/帝人フロンティア/GSIクレオス/三共生興

2021年12月03日 (金曜日)

〈経常黒字に転換/東洋紡STC〉

 東洋紡STCの2021年4~9月期連結決算は、売上高160億円、営業利益1億5800万円(前年同期比10・9%減)、経常利益2億7500万円(6200万円の損失)となった。売上高で収益認識に関する会計基準を適用したため、前年同期との比較はしていない。

 繊維部門の売上高は4・7%伸びて100億7500万円となった。スポーツが新型コロナウイルス禍による店頭不振で低調だったほかユニフォームでも苦戦を強いられた。

 スクール、マテリアル(インナー、糸売り)では業績を改善。中東向けの輸出織物は新型コロナ禍による影響が減少し、販売数量、売上高をともに回復させた。

 21年度通期では売上高770億円(4・2%増)、営業利益8億円(12・3%減)、経常利益8億円(35%増)の増収経常増益を見込んでいる。

〈インフラ補強材など好調/帝人フロンティア〉

 帝人フロンティアの4~9月期業績(帝人繊維・製品セグメントの業績)は、売上高1335億円(15・6%減)、営業利益35億7500万円(71・8%減)で、減収大幅減益だった。医療用防護具(ガウン)の官需が収束したほか、衣料繊維も全般的に苦戦した。

 衣料繊維は欧米や中国向けの素材・製品の販売が回復したが、新型コロナ禍による国内消費低迷や海外のロックダウン(都市封鎖)が響いた。産業資材は自動車関連部材やインフラ補強材が好調だったが、期後半で半導体不足による自動車生産台数減少の影響を受けた。

 下半期以降は、経済活動の回復や半導体不足の収束などに期待するが、原油価格高止まりもあり、継続的なコスト削減に努める。環境対応など、社会的課題解決に向けた商品開発にも注力する。

〈インナー用機能糸など増加/GSIクレオス〉

 GSIクレオスの4~9月期連結決算は、売上高525億円、営業利益12億100万円(前年同期比47・8%減)、経常利益12億700万円(46・4%減)、純利益9億3500万円(20・5%減)だった。新会計基準適用のため売上高の前年同期比は公表していない。

 繊維事業は、個人消費の改善を背景に、アジアでのインナー用機能糸・生地の取引、欧米アパレルメーカー向けの生地の取引は増加した。新型コロナ感染防止用の医療・衛生消耗品は需要が落ち着いたことなどから減少した。

 今期で現中期計画を終了し、来期から始まる新中計を策定した。最終の25年3月期に連結純利益を過去最高の22億円に拡大することなどを目標に定めるほか、プライム市場上場で資本市場からの信任度を高める。

〈ファッションで益率改善/三共生興〉

 三共生興の4~9月期連結決算は売上高が76億6800万円(前年同期比7・5%減)、営業利益8億6600万円(1・7%減)、経常利益が11億6400万円(9・6%減)、純利益が12億2200万円(前年同期は1700万円の純損失)だった(短信既報)。債務免除益が純利益の黒字転換に貢献した。

 ダックス、レオナールのブランドを展開するファッション関連事業は売上高32億3900万円(7・0%減)、営業利益が6億5500万円(5・9%増)だった。不採算店舗の閉鎖、プロパー販売の強化、経費削減で益率が改善した。製品OEMの繊維関連事業は売上高36億3400万円(5・1%減)、営業利益は1億6100万円(28・7%減)だった。

 通期は売上高160億円(前期比6・8%減)、営業利益14億円(28・4%減)、経常利益18億円(33・4%減)、純利益17億円(48・9%増)を見込む。(おわり)