繊維ニュース

環境特集(5)/有力繊維企業/SDGsを追求/レンチング「テンセル」/レンチング「ヴェオセル」/カケン/QTEC

2021年12月06日 (月曜日)

〈レンチング「テンセル」/ゼロカーボンタイプ拡充〉

 レンチングは、精製セルロース繊維「テンセル」リヨセルとHWMレーヨン「テンセル」モダールに続いて、廃棄綿布を原料として再利用する「テンセルリフィブラ」にもゼロカーボンタイプを追加した。

 ゼロカーボンタイプは、植物由来原料に加えて製造工程で再生可能エネルギーを使用することなどで認証団体のナチュラルキャピタルパートナーズによってカーボンニュートラル製品として認定されたテンセル。これを使うことでアパレル製品製造・消費での二酸化炭素排出量を削減できることから、採用が拡大している。

 新たにリサイクルテンセルであるリフィブラにもゼロカーボン対応が登場したことで、リサイクルからカーボンニュートラルまで対応したサステイナブル原料としてテンセルの存在感が高まる。

 トレーサビリティーを確保するためのシステムも充実する。レンチングの素材が使われている生地をトレースできる「E―ブランディング」システムがある。さらにテキスタイル・ジェネシス社の技術を導入し、ブロック・チェーン技術でレンチング素材のサプライチェーンでの使用状況を管理できるようになった。

〈レンチング「ヴェオセル」/「エコプロ」に初出展〉

 レンチンググループが展開する「ヴェオセル」ブランドの繊維は不織布用原料に使われている。衛生用品やコスメティック分野などで着実に販売が伸びており、ドレープ性や吸水性といった特徴に加えて、植物由来原料や管理された生産工程といった環境特性が高い評価を得ている。

 ヴェオセルは環境への負荷が小さいことで知られている。原料には森林管理を認証する国際的な制度であるFSC認証を取得している木材を使用する。クリーンで安全な製造工程で作り、特にヴェオセルリヨセルは環境に配慮したクローズドループ(循環型)方式で生産している。

 ゼロカーボンについても達成した。ヴェオセルリヨセルは製造でのCO2の排出量を一般のリヨセル繊維の3分の1に削減しているほか、再生エネルギーの活用や森林再生プロジェクトへの積極参加で実現に導いた。ゼロカーボンは第三者機関によって認証されている。

 会員制交流サイト(SNS)などを通じて情報を発信し、ヴェオセルブランドとその環境特性は消費者の間にも徐々に浸透してきた。認知度のさらなる向上などを目的に8~10日に東京ビッグサイトで開催される環境関連展示会「エコプロ2021」に初めて出展する。生分解性を分かりやすく解説するセミナーなどをブースで実施する。

〈カケン/ZDHC研修の講師に/日本語で実施可能〉

 有害物質ゼロを目指すロードマッププログラムを管理するZDHC(オランダ)に加盟するカケンテストセンター(カケン)。ZDHCは持続可能な化学物質管理の基礎知識とベストプラクティスの理解・実装を目的とした研修を実施しており、その講師(トレーニングプロバイダー)としてカケンから2人が認定されている。

 研修(ZDHCアカデミー)は世界中でその国の言語に合わせて行われており、日本語で実施できるのはカケンだけ。化学物質管理の入門や化学物質を管理するための10の課題、排水管理など五つのコースがあり、日本の法令や習慣に合わせた形に調整した上で展開する。

 染色加工場など、主として水を使用する工場が対象となる。研修に使用する教材はカケンが日本語に翻訳して提供する。時間は入門編の集合研修で2日間程度(オンラインでは3日間)という。新型コロナウイルス禍は落ち着きを見せているが、集合研修ではなく、オンラインで始動する予定だ。

 2022年の早い段階でスタートしたいとし、研修の認知度向上を図っていく。世界的に研修件数と受講者数は増えており、日本でも特に欧米向けの製品を生産する企業の需要はあるとみている。「サステイナビリティー推進の土台として利用してほしい」と話す。

〈QTEC/社会貢献へ四テーマ/職員の成長にも重きを〉

 「コンプライアンスが何よりも優先される」との考えに立つのが日本繊維製品品質技術センター(QTEC)だ。「環境負荷低減」「品質価値の向上」「社会的価値の向上」「人材育成・従業員満足度」の四つをテーマに設定し、地球環境の保全に努めながら持続可能な社会の実現に貢献する。

 4テーマの下で多様な取り組みを進めている。環境負荷低減と品質価値の向上ではキャンプ用テントの「SGマーク」認証試験や抗菌・抗ウイルスに関する試験、エタノール消毒液試験、医療用ガウン試験などに対応し、顧客のサステイナビリティー推進を支える。

 QTEC自身にできる環境負荷低減ではペーパーレス化に向けて動き出した。例えば試験結果報告書の発行では、大量の紙を消費し、一定の保管期間後は大量に廃棄するなど、環境負荷が大きいが、紙でやり取りする習慣が根強く、ペーパーレス化は簡単ではない。顧客の協力・同意が必要だが、「できないと決めつけるのではなく、少しずつでも進めたい」と話す。

 社会的価値の向上ではCSR監査などを強化。児童労働問題や外国人労働者の労働環境問題などでCSR監査の要望が増えており、ニーズに応える。人材育成・従業員満足度では、顧客のナショナルスタッフ向けのウェブセミナーなどを実施している。QTEC職員の成長も重視し、健康経営を積極推進している。