繊維ニュース

環境特集(6)/有力繊維企業/SDGsを追求/シキボウ/東レインターナショナル/小松マテーレ/大正紡績

2021年12月06日 (月曜日)

〈シキボウ/特殊原料でCO2削減/綿と合繊ともに取り組む〉

 シキボウは、燃焼時の二酸化炭素発生量が少ない特殊ポリエステル繊維「オフコナノ」を重点提案している。主力商材である綿と合わせて、合繊使いでも環境配慮型素材の普及に取り組む。

 オフコナノは、再生ポリエステルに特殊な添加剤を加えることで燃焼時の二酸化炭素発生量を約60%削減する。ポリエステルはリサイクルが可能だが、再生を繰り返すといずれ品質が劣化し、最終処分として焼却処理される。オフコナノは最終処分時の環境負荷低減まで配慮した素材となる。

 これまで短繊維を使った紡績糸や短繊維織・編み物での提案が中心だったが、このほど長繊維の商品化にも成功した。長繊維によって資材用途の普及も目指す。紡績糸はベトナム、長繊維は台湾の協力工場でも委託生産でき、海外生産・海外販売にも対応できる点も特徴。

 同社は主力の綿素材でもサステイナブルな科学的精密農法で栽培された米綿の証である「コットンUSA」認証商材を積極的に提案している。米綿業界が取り組むサステイナビリティー検証システム「USコットン・トラスト・プロトコル」にも参加している。

 オフコナノが加わることで、綿と合繊の両素材で環境配慮型原料をそろえることになる。

〈東レインターナショナル/余り生地を傘地に再利用/環境配慮に加え機能性も〉

 東レインターナショナルが新しい試みに挑戦する。ベトナムや中国などの縫製拠点で発生する余った生地(ナイロン製)などを再利用して、傘を作ろうとする取り組みだ。「TSUTSU」(ツツ)の名称で22春夏からECサイトで販売を始めたいとしている。傘本体に加え、張り替え用の生地も用意する。

 余り生地は出ないのがベストだが、ゼロにするのは実質的には困難。そのような観点からも今回の余り生地の傘地へのアップサイクルは環境負荷低減への有効な手段の一つと言える。同社はアウトドアウエアの生産も多く、商品に人気が出ても、アップサイクルできる生地はある程度確保できるとしている。

 サステイナビリティー対応としてだけではなく機能にもこだわる。生地には東レで最高撥水(はっすい)性能を持つ高耐久撥水加工「キューダスXT」を施しているほか、シャフトと親骨、受骨に炭素繊維を使用することで軽くて丈夫という特徴も付与した。商品は中国のOEM専業の工場で生産する。

 環境・サステイナビリティーでは、高耐候レインウエア「トレイン」の訴求も強化する。特殊樹脂による防水膜や高耐久目止めテープなどの技術を駆使して10年という長寿命化(一般のレインウエアは3年程度)に成功。今後は環境負荷を限りなくゼロに近づける。

〈小松マテーレ/サステビジョン策定/開発はサステに重点〉

 小松マテーレは今期、「小松マテーレ・サステナビリティ・ビジョン」を策定した。前期までの環境方針を発展させ、①気候変動対策②循環型社会づくりへの貢献③人々の感動の創造④防災・減災への取り組み⑤地域貢献と社員の成長――の項目で2030年までの方向性を示した。30年には13年度比でCO2排出量30%削減、水使用量25%削減などの目標を定めている。

 CO2排出量や水使用量削減に向け、工場での省エネや生産体制の効率化とともに、製造時のエネルギー使用量・水使用量が少ない製品の開発を加速する。独自開発の染めやすい糸「WS」を使って染色加工時の環境負荷を低減する技術はその一つ。今後の開発は「環境」を切り口にしたテーマをさらに増やす。

 廃棄物の削減に向けては、①バイオ製剤による排水処理汚泥の減容化②繊維くずのアップサイクル③加工方法変更廃棄物削減――などに取り組む。水系への移管などでVOCの使用量を削減するほか、撥水(はっすい)加工における非フッ素系の比率を50%に高める。「ブルーサイン」など国際認証の取得も進める。

 販売では、環境配慮型商品「KSP(コマツ・サステナブル・プロダクツ)」に重点を置き、30年には売り上げの50%を占める形にする。エネルギー・水・廃棄物の少ない製品の開発・拡販に取り組むほか、フィルムのバイオ化や天然由来成分による染色技術「オニベジ」「ベジベジ」の拡充などバイオ由来の素材・薬剤による製品の開発を強化する。生分解性などを含め、産学連携による開発にも取り組む。

 防災・減災への取り組みも重視し、熱可塑性炭素繊維複合材料「カボコーマ」の炭素繊維ロッドや環境配慮型発泡セラミックス「グリーンビズ」、などで貢献していく。

〈大正紡績/“本物”のオーガニック/欧米アパレルにもアプローチ〉

 大正紡績(大阪府阪南市)は、これまでの実績を生かして信頼できる“本物”のオーガニック綿糸を打ち出す。栽培農家との強い関係を強みに、トレーサビリティーを確立した糸の提案に取り組む。

 世界的にオーガニック綿糸の需要が高まる中、インドで不正認証事件が発生するなどオーガニックコットンの信頼性を揺るがす事態も起こっている。同社は約30年前からオーガニックコットンを手掛け、原綿も米国、インド、トルコ、アフリカの契約農家などから調達することで信頼できるトレーサビリティーを確立している。

 オーガニックコットンは有機栽培のため年によって作柄にバラツキが出る。これを長年の経験で培った混綿技術で安定した品質の綿糸にするところも同社の強み。こうした技術を継承するために社内に「コットンマイスター」の称号を設け、技術者の育成にも取り組んでいる。

 大島一仁社長は「30年前からオーガニックコットンを扱っているということは、どんなことがあっても続けるということ」と強調。信頼できるサプライヤーとして本気でオーガニック綿糸を使いたい取引先との取り組みを重視する。

 国内の取り組み先と連携しながら、欧米アパレルへの直接アプローチも強化する。人員を投入し、欧米市場で「大正紡績」のブランド力向上を目指す。