大手学生服スクールスポーツ/来入学商戦へ向け順調/自社ブランド提案強化

2021年12月07日 (火曜日)

 スクールスポーツウエア市場では新型コロナウイルスの感染拡大の影響も落ち着き、大手学生服メーカーは来入学商戦に向けて堅調に採用校数を積み上げている。ライセンスブランドが採用に貢献するとともに、自社ブランドを育てる動きも年々加速している。

(秋山真一郎)

 今年の各社のスクールスポーツ部門売上高を見ると、菅公学生服が2021年7月期に109億円と過去最高を更新。トンボは、新型コロナ禍による買い控えの反動などで、同6月期は前の期比14・2%増の64億円となるなど売り上げを伸ばした。

 明石スクールユニフォームカンパニー(SUC)は昨年に決算月を5月から12月に変更したことで今年のデータはまだ出ていないが、21年12月期は増収を見込んでいる。

 来春の採用校も着実に積み増しており、ライセンスブランドの体操服は引き続き各社の採用校獲得に寄与する。

 明石SUCでは「デサント」が好調だ。今春、マークを東京五輪・パラリンピックの競技用ウエアなどで使われている「スピリットマーク」に変更したことで認知度も向上。同ブランドとアドバイザリー契約を結ぶ、米大リーグ・エンゼルスの大谷翔平選手が活躍したことも奏功した。

 菅公学生服も「リーボック」が前年に比べて採用数を伸ばす。「カンコー×ファイテン」では今春からブルーカラーをメインにしたトップスとブラックのボトムスでのセットアップ提案を始めるなど、新企画の提案も活発だ。

 堅調なライセンスブランドとともに、独自ブランドで差別化する動きも強まってきた。

 菅公学生服は「カンコープレミアム」「カンコーノームコア」という「カンコー」ブランドの打ち出しを強めている。明石SUCも自社ブランド「アスリッシュ」を20年の入学商戦から提案を本格化させている。

 菅公学生服や明石SUCの自社ブランドはシンプルなデザインが特徴的だ。一方、トンボは昇華転写プリントによるデコラティブ路線で採用につなげており、昇華プリントの採用は新規全体の40%超となっている。

 各社は素材開発にも力を入れている。トンボは「ビクトリー」を中心に展開するウオームアップウエアの「ピストレ」で採用する独自の軽量ポリエステルニット、「ピステックス」の生地を拡充。これまで展開してきた5種類に、シャドーストライプ柄と摩擦と防融機能を強化した生地を追加し、計7種類での提案を進めている。

 菅公学生服も、カンコープレミアムで採用する、大手素材メーカーと開発した生地、「グランガード」が好評。同ブランドでは今年の春と夏にバリエーションも増やした。

 今後も各社の自社ブランドの商品開発が進むことが予想される。性的少数者(LGBTQ)への配慮で中学校でのブレザー化が進む中、「中学校への提案機会も増えた」との声も聞かれ、この先も各社の競争が激化しそうだ。