特集 22春夏ボディー&レッグファッション(5)/商品・素材の力が問われる/福助/東洋紡STC/ファーベスト/旭化成アドバンス

2021年12月15日 (水曜日)

〈福助/22春夏は三ケア打ち出す〉

 福助は、新型コロナウイルス禍の影響で生活様式が大きく変わる中でも堅調な数字を維持している。ただ、マーケットの変化は続いており、これまで以上にチャネルの特性に合わせた提案を行うことが重要になると捉える。22春夏ではケアに焦点を当てた商品提案を行う。

 2021年4~10月の販売を見ると、ソックスはライセンスブランドがけん引して前年の売り上げを超えた。厳しい市況が継続しているストッキングも前年並みを維持した。インナーは前年を下回ったものの、ナショナルブランドの比率が向上したことで利益率は大きく改善した。

 22春夏は三つのケアを打ち出す。「気分をケアする」ではウイズコロナ時代を明るく前向きに過ごすカラーや柄の提案を強化。「身体をケアする」ではフェムケア関連商品や運動・歩行をサポートするレギンスを展開する。「暮らしをケアする」では環境配慮商品などをそろえる。

 フェムテックについては、市場拡大の好機と捉え、吸水ショーツを中心に、ソックスやストッキングのフェムケア関連商材を集積する。ただ、同質化・価格競争に陥ることが懸念され、差別化や独自性のある商品開発が不可欠と話す。

〈東洋紡STC/安全・清潔に照準〉

 東洋紡STCは22秋冬向けのインナー・肌着素材で、安全や清潔感をターゲットに開発した除菌素材「アグリーザ」や抗ウイルス素材「ナノバリアー」、消臭素材「デオドラン―C」などを重点的に投入する。

 インナー・肌着市場については、新型コロナウイルス禍で2020年度は苦戦を強いられ、21年度を迎えても「市況は多少、回復する程度にとどまっている」との認識を示す。

 22秋冬に向けては、安全や清潔感にこだわって開発した素材群を打ち出し、「大きく期待はできないが、10%前後の拡販を目指す」。

 昨年ほどではないものの、新型コロナ禍に伴い清潔、安全素材が引き合いを集めていると言う。アグリーザは銀イオンを配合した抗菌アクリル「銀世界」を応用したもの。抗ウイルス・ナノバリアーや「ヴァイアブロック」とともに打ち出す。

 綿を改質し高機能化する開発にも力を入れている。オーガニックコットンで商品化した吸汗速乾「爽快コット―O」、消臭「デオドラン―O」を年間企画としてラインアップ。秋冬では、同じく綿の改質で吸湿発性能を持たせた「ホットナチュレネオ」を用意する。

〈ファーベスト/フェムテック分野参入〉

 長谷虎紡績グループのファーベスト(東京都中央区)はフェムテック分野に本格進出する。高純度微粒子セラミックスを練り込んだ機能繊維「光電子」を応用し、女性が抱える体に関するさまざまな課題の解決に貢献する。フェムテック分野参入に当たり、光電子の生地ブランド「efe」(エフェ)を立ち上げた。

 光電子は、遠赤外線効果による保温機能などの特徴を持つ。大阪府立大学の清水教永名誉教授が行った医科学的臨床試験の結果、睡眠改善や疲労回復といった体のリカバリー(休養)・リラクゼーションをサポートする効果が期待できるという。スポーツ・アウトドア用途で採用が進む。

 フェムテック分野でもこれらの機能を生かすが、入社1、2年目の女性社員が中心のプロジェクト「ぬくもりLab」を主体に商品開発に取り組む。光電子は糸・わたでの販売だったが、エフェで初めて生地(丸編み中心)で展開する。

 このほど東京都内でエフェの展示などを行ったインスタレーションイベントを開き、会場には百貨店や繊維商社の企画担当者らが訪れた。光電子の基本機能である保温をベースに、女性のニーズに合った商品をパートナー企業と共創する。

〈旭化成アドバンス/ソフトな素材充実〉

 旭化成アドバンスは22秋冬向けのインナー・肌着素材で、キュプラ繊維「ベンベルグ」で開発したソフト感が持ち味の素材群を重点的に投入する。

 2021年度上半期は19年度同期並みの水準には戻らないものの、前年同期よりも販売量を回復させている。

 22年度に向けては、「この間の市況低迷からの一定のリバウンドを想定できる」とみており、ベンベルグや環境配慮型素材「エコセンサー」を打ち出し一層の拡販を計画する。

 22秋冬では、マイクロベンベルグや再生スパンデックス・ロイカEFとの交編でしなやかなタッチを強調したハイゲージスムースなどの商品群を充実させたほか、トリアセテート・ポリエステル・ロイカEF、ナイロン・綿・ロイカEFで薄地のストレッチ素材群に厚みを持たせた。

 最近の商談では、「エコ素材をピックアップするユーザーが増えている」と言い、ベンベルグやエコセンサーによる商品開発、企画提案に重点的に取り組み、エコを求めるニーズに応えていきたい考えだ。

 原燃料高騰によるコストアップを踏まえ、「値上げをお願いせざるを得ない」としており、価格転嫁にも取り組む。