ごえんぼう

2021年12月24日 (金曜日)

 取材の合間、今治城へ足を運んだ。城内には築城した藤堂高虎の銅像のほか、高虎の目線の先に市街地を見つめる銅像が立っていた▼「首倡功」と書かれたその銅像は、今治綿業の父とされる矢野七三郎。西洋文明に触れるにつれ、織布の近代化と企業化の必要性を痛感した七三郎は、当時先進的だった和歌山のネル工場で働き製織技術を習得し、伊予ネルという新製品を生み出す▼完成直前の工場が暴風雨で倒壊する不運にも見舞われたが、これに屈せず努力。伊予ネルは次第に世に認められるようになる。後進の育成にも励み、今治に織物産業を定着させる。タオル産地としての今につながる▼七三郎は1889年の今日、凶賊に襲われ35歳で命を落とす。首倡功とは「首て功を倡う」と読み、偉大な創始者に贈られる尊敬の言葉だと言う。銅像の七三郎の右手にはしっかりとタオルが握られ、今も今治の発展を見守り続ける。