明日へ これが我が社の生きる道~縫製編~(41)三敬

2022年01月07日 (金曜日)

高品質な自社製品をネット通販

 ベビー寝具を手掛ける三敬(愛知県蒲郡市)は自社縫製による品質にこだわったモノ作りを強みとする。この強みを生かしネットでオリジナル商品を消費者に直販しており、縫製工場としていち早く消費者にネットで直販するD2Cに乗り出した。近年では産地間交流も進めるなど国内でのモノ作りの維持に力を入れている。

 1962年創業で当初はこたつ敷きといった敷物の縫製を主力としていた。石田篤則社長が入社した89年ごろにはおねしょシーツ、その後は顧客の要望に応える形でベビー向けのふとんカバーなどの縫製も手掛けるようになった。日本だけでなく中国でも生産するようになり量販店に商品を納めていた。

 中国生産が会社の主力事業となり、3年ほど続けたが競合他社の参入などによって売り上げや利益は伸びず、会社の業績は右肩下がりだった。一時は廃業を考えたが、ある講演会で中小企業の経営者が会社を立て直した話を聞き、下請けからの脱却を決意。経営理念の策定や事業計画を作成するなどして再建に向けて一歩を踏み出した。

 石田社長が特にこだわったのは日本での安心安全で高品質なモノ作りだ。中国生産からは完全に撤退し自社工場での縫製のみにかじを切った。「これまではお客さんに言われたものをただ作っていただけ。自社で作ればきちんとした品質のものができると思った」。現在は企画から生産、販売までを一貫して行うSPAだ。

 一方で課題だったのは販路先の開拓だった。そこで目をつけたのが95年ごろから国内で増え始めたネット通販だった。同社は2005年から開始しており、「当時、一縫製工場がネット通販を始める例はほぼなかったため周りからばかにされた」と笑いながら振り返る。12年には同県岡崎市に直営店「はぐまむ」も構えた。

 ベビー用品は他の衣料品と異なりそこまでデザイン性が求められない。そのため同社は品質の向上に絞って力を入れることができた。さらに、ネット通販で納期対応に追われることがない上に、アイテム自体が小さいため縫製が楽にできることも高い品質を維持することにひと役買っている。

 クチコミなどで評判を呼びネット通販の販売は堅調に推移。ただ、新型コロナウイルス禍で打撃を受けた。生地などの仕入れ先が廃業という新たな課題が持ち上がっている。そのため他産地の企業と交流を深め情報共有を推進。「日本全体で考えた時にこの国のモノ作りを維持、強化していきたい」と意気込む。

(毎週金曜日に掲載)

社名:三敬株式会社

本社:愛知県蒲郡市御幸町12の3

代表者:石田 篤則

主要生産品目:ベビー用品(織物製)

従業員:20人