素材メーカー・産地の連携/背景に市場構造の変化/リサイクル普及でも不可欠に
2022年01月07日 (金曜日)
繊維素材メーカーによる競合関係を超えた提携や繊維産地との連携が加速している。背景に新型コロナウイルス禍を契機とした繊維製品市場の構造変化と、世界的に高まるサステイナブル素材実用化への要請がある。
(宇治光洋)
新型コロナ禍を契機に、2020年は繊維製品需要が大きく減少した。日本化学繊維協会によると20年の世界繊維品貿易高は前年比3%減の約7700億ドル。マスクや防護服など感染対策品の貿易額が急増する一方、衣料品は大幅減少となる。天然繊維の代表である綿花も19~20綿花年度の世界消費高は前季比14・4%減の1億3073万俵(1俵=480ポンド)と大きく減少した(米国農務省調べ)。
21年からはワクチン接種の進展などもあって世界経済も徐々に正常化へ向かいつつあり、繊維需要も回復傾向となるが、海外と比べて国内需要回復は遅れている。日本は元々、衣料品の供給過剰傾向が続いていただけに今後も新型コロナ禍前の水準まで需要が回復する可能性は低いとの見方が業界内では大勢を占める。消費者が本当に必要とする品質や機能を持った商品しか売れない時代に突入した。
こうした市場構造の変化に対応するため、従来の競合関係を超えて提携する動きが顕在化した。シキボウとユニチカトレーディングは昨年から連携し、12月には初の合同展示会を開催して共同開発商材を披露した。両社がそれぞれの生産設備や得意とする原料・加工技術を相互活用することでアフターコロナに向けた商品開発をスピーディーに実現することが狙いの一つとなる。
機能素材・加工へのニーズが高まる中、性能評価で大きな役割を担う検査機関でも連携の動きが進んだ。ボーケン品質評価機構とユニチカガーメンテックは昨年10月、提携契約を再締結して技術協力を強化した。衣服機能の複合性能や生体測定などに関する新たな評価・試験技術などの共同開発を加速させている。
もう一つ、連携を促進しているのがサステイナブル素材、特にリサイクル・アップサイクル素材の普及への動きだ。リサイクル・アップサイクル素材の実用化・普及には素材の販売だけでなく、回収などを含むサプライチェーン全体での取り組みが必要となる。
こうした取り組みを拡大させているのがクラボウの「ループラス」。裁断くずを紡績糸へとアップサイクルするシステムを普及させようとしている。これまでもエドウインなどアパレルとの連携を加速させていたが、昨年には今治タオル工業組合、奈良県靴下工業協同組合、播州織産元協同組合、兵庫県繊維染色工業協同組合、播州織工業組合、播州整理加工協会と提携するなど産地連携も強めた。
繊維の需要構造やニーズが大きく変化する中、22年もこうした企業や地域の枠を超えた連携の動きが加速する可能性は高い。




