ファッション消費をどう読む  アパレルトップインタビュー2022 (2)ワールド 社長  鈴木信輝 氏

2022年01月12日 (水曜日)

「攻めの経営」に移行

 ――昨年を振り返ると。構造改革が進んでいる。

 昨年は年始から2月までは厳しい市況で、3月後半から実店舗に顧客が戻り始めた。しかし緊急事態宣言の延長が繰り返され、特に5、8月の商況が厳しかった。上半期(2021年4~9月期)における売上減の内訳を見ると、5、8月分が大半を占めている。ただ、10月から売り上げは回復基調となった。

 事業の見直しは常に行うが、大量退店、ブランド終息などの大規模な構造改革は完了しつつある。追加で実行する予定はない。

  ――外出自粛の際、自社ECの状況は。

 20年に新型コロナウイルスが拡大した際、相当程度の商品を自社ECに振り向けた。しかし、在庫消化を含めて粗い売り方をしてしまった。その反動もあり、昨年はEC売り上げだけを見ると厳しかった。一方で、在庫消化を念頭に置いた“たたき売り”を止めている。従ってECの粗利益率は改善している。

  ――百貨店向けの婦人服が復調した。

 基幹ブランドのリブランディングを実行している。企画面に加え、店頭表現を大きく変えようとしている。足元では「アンタイトル」「インディヴィ」など百貨店向け婦人服ブランドが復調し、いい流れになってきた。以前のように作れば売れるという時代ではない。今は“価値が裏付けられた服”が動いている。売れ筋を追うような、根幹が揺らぐようなブランドは今後も厳しいだろう。

  ――百貨店販路の考え方については。

 百貨店販路は中核という位置付けだ。英ライフスタイルブランド「ローラアシュレイ」などで新たに出店しており、(構造改革で)撤退ありきの販路ではない。百貨店と一緒に仕掛ける話も出ているので、収益に見合えば再び出店する。

  ――ブランド事業の改善状況は。

 外部人材に入ってもらい、今までのファッション感度とは違う商品を打ち出している。決算会見でも話したが事業部全体を「戦う集団」へ再生する。昨年来、店舗が開いたり閉まったりしていたので、もう一度、実店舗における販売力を強化する。アパレルの王道である、現場の強化策で競争力を高める。同時にブランドのライフスタイル化も進める。単に服飾雑貨を増やす戦略ではなく、原点回帰をしながら、優れた点やブランディングを積み上げる。

  ――「裏方」として外部企業をサポートするプラットフォーム事業については。

 プラットフォーム事業は、170億円規模に拡大してきた。次のステージに引き上げるため、営業人材の拡充を進める。実は(来日が難しい)海外企業からの引き合いが増えている。新型コロナ禍でいったんストップしていたプロジェクトが、感染が落ち着いたことで再び動きだしたケースもある。

  ―ー事業の柱を増やすイメージなのか。

 小さくても光る、とがったブランドを増やす。インフルエンサーやクリエーターとの協業、社内公募を含めてブランドを立ち上げている。収益が成り立つビジネスモデルを確立し、こうしたブランドを増やす。さらに全店黒字化を達成したオフプライスストア「アンドブリッジ」の出店を加速する。これまでの「守り」から「攻めの経営」に移行する時期が来たと考えている。