ファッション消費をどう読む アパレルトップインタビュー2022 (3)TSIホールディングス 社長 下地 毅 氏

2022年01月13日 (木曜日)

利益改善、基幹ブランドも復調

 ――昨年3月、社長へ就任した。振り返ってみると。

 とても密度の濃い時間だった。就任当初は新型コロナウイルス禍の影響で事業が安定せず、物流も混乱していた。さらに従来からの課題が(新型コロナ禍で)露呈し、改善する必要が出てきた。そこで、グループ全体で課題を解決する機運が高まり、(昨年後半は)構造改革の進捗(しんちょく)に手応えを感じた時期でもあった。

  ――プロパー販売の強化と在庫圧縮という課題については。

 商品の発注量を減らし、適切な量を調達する形に切り替えた。品番数の絞り込みも実践している。結果として利益面は大幅に改善した。しかし、ファッション市場全体の消費は回復しておらず、どう対応するのかが課題として残っている。

  ――「ナノ・ユニバース」など基幹ブランドの状況は。

 売上高、利益ともに回復してきた。販管費を抑制し、在庫も圧縮した。組織をスリム化し、筋肉質な体制へ変えたことも奏功している。新型コロナ禍前となる2019年度の売上高に近づきつつあるが、利益を伴った内容のある改善を目指している。

  ――具体的には。

 在庫の持ち方をよりシビアにした。仕入れの抑制も続ける。経営陣が入り、ブランドのコンセプトを作り直している。ナノ・ユニバース、ナチュラルビューティーベーシック(NBB)もしかりだ。ナノ・ユニバースは通勤着からトレンド寄りのファッションにシフトし、NBBはOL層の通勤着からカジュアル服へ振っている。若年層に向けたスタイリングも強化する。

  ――ゴルフウエアは引き続き好調だ。

 ゴルフウエアは年間を通して絶好調だった。上半期(21年3~8月期)も「パーリーゲイツ」「ニューバランス・ゴルフ」がけん引し、全てのゴルフブランドで19年度の売り上げを上回った。一方で、ゴルフウエアのパイは限られており、現場は試行錯誤を繰り返している。現状に甘んじることなく、チャレンジすることが重要だ。

  ――新規事業については。

 詳細は話せないが、アスレジャーの分野で新しい商品、ブランドを開発する。今春に投入する計画だ。ストリートブランドでも新たな取り組みを開始する。

  ――そのほかの好調要因については。

 品番数の絞り込みも継続するが、より“ブランドの顔”となる商品を打ち出している。そしてシーズンごとに売り切るイメージだ。追加生産はしない。上質な服は長期間にわたって着用してもらえる。従って原価率も上がるが商品のクオリティーは守る。横並びでモノを作る形態も改めた。

  ――原材料費、物流費の高騰が続いている。価格への影響は。

 上質な服を増やせば一部商品で価格は上がるが、22春夏シーズンで価格に転嫁する予定はない。その一方で、利益が減るのはやむなしというところだ。価格を維持したいが故に、クオリティーを下げては意味がない。