中国デザイナーズブランド・  インキュベーターに聞く(6)東華大学服装・芸術デザイン学院副教授 羅競傑 氏

2022年01月14日 (金曜日)

時代は「出来事消費段階」

 東華大学服装・芸術デザイン学院の羅競傑副教授はこの30年弱、中国ファッション業界の変化を間近で見てきた。「時代は“出来事消費段階”。デザイナーは自身をIP(知的財産)化せよ」と説く。若手デザイナー育成や業界の現状を聞いた。

(上海支局)

                      ◇

  ――上海の繊維名門校、東華大で教鞭を執りながら、産学連携に取り組んでいます。

 2019年から、ろうけつ染めや絞り染めなどの伝統技術を持つ江蘇華芸集団で、学生が染色から縫製までの工程を学ぶ実習を行っています。デザインだけでなく、生産についても関心を持ってもらうのが狙いです。

  ――中国ではZ世代(1995年以降生まれ)のデザイナーが活躍しています。最近の若手の特徴は。

 従属的かつ中性的になっている印象です。一方逃避主義で、自由な発想を持っています。情報量が多く、世界との時差はなくなっています。

  ――ご自身はデザイナーブランドのはしりです。

 96年にブランドを始めました。当時は台湾と香港のブランドはありましたが、現地のブランドはほとんどありませんでした。その後30年弱、一貫してファッション業界でやってきました。

  ――業界はどう変化してきましたか。

 90年代半ばは、「ヤンガー」や「ボストン」など工場発のブランドが出てきた段階です。ファッション商品は現地ではほぼ生産されておらず、海外商品がメインでした。商品が良ければ売れる時代です。私は「商品消費段階」と呼んでいます。

 2000年代になると、「JNBY」や「アイシクル」などのブランドが存在感を高めます。この時代は「ブランド消費段階」。商品が同質化する中、消費者はブランドを判断基準にしました。

 そして近年は、「出来事消費段階」です。ブランドに執着しないZ世代は、KOL(キー・オピニオン・リーダー)を使ったマーケティングや、ブランドと異業種とのコラボレーションなどの“出来事”を消費しています。

 オンライン上の仮想空間「メタバース」の影響も今後強まるでしょう。ファッション産業は、大きく変わっていくと思います。

  ――デザイナーズブランドはどう対応すべきですか。

 これからは個性の強いブランドが求められます。消費者の精神的欲求を満たすコンテンツが必要とされるでしょう。私は学生に、自身をIP(知的財産)化しろと話しています。