超低誘電損失フィルム開発/三菱ケミカル

2022年01月21日 (金曜日)

 三菱ケミカルはこのほど、高周波領域における誘導損失(誘電体に交流電場をかけた際にエネルギーが熱として失われること)を低減した高周波通信向けの超低誘電損失フィルムを新たに開発した。熱可塑性(写真)と熱硬化性の2タイプがある。

 次世代通信規格として普及が見込まれているミリ波帯5GやBeyond5Gなどは波長が短い高周波帯を利用する。

 高周波帯は送信過程で電波が減衰する誘電損失が大きいため近年、通信機器に適用されている変形ポリイミドや液晶ポリマーなどの素材では電波を損失させ通信に支障を来す恐れがあり、低誘電損失の新素材開発が求められていた。

 こうしたニーズに対応するため、同社が持つ材料設計技術や合成のノウハウを生かし、誘電正接を業界トップレベルの0・001以下まで抑え、高い誘電特性を持ったフィルムを新開発した。

 ミリ波帯5Gにおける伝送ロスを従来品に比べ約50%低減することが可能で透明性や耐熱性にも優れているため、電子回路基板やアンテナ基盤・外装材などへの活用が期待される。