山陽染工/生地からの提案強化/加工開発で産地内連携も

2022年01月27日 (木曜日)

 染色加工の山陽染工(広島県福山市)は、加工だけではなく生地からの提案を強化している。産地の工場と連携した加工の開発にも注力。産地の特色を生かしたモノ作りを進める。

 同社は2019年にイタリア・ミラノのテキスタイル展示会「ミラノ・ウニカ」に初出展するなど海外の販路開拓を進めてきた。戸板一平取締役は「海外向けでは素材込みの商売が必須になっている」と指摘する。国内でも環境に配慮した素材を求められることが多くなり、独自に開発した生地も含めた加工の提案に力を入れている。

 経糸にオーガニックコットン、緯糸に再生ポリエステルを採用したものや、綿とパイナップル繊維を混紡した糸を使った生地などを新たに開発し、加工とともに提案を始めている。

 山陽染工児島ファクトリー(岡山県倉敷市)の森原聰取締役担当部長は「トレーサビリティーが求められる中、出自のはっきりした生地を持っておくことが必要」と話す。

 地場の工場と協力して新たな加工の開発にも乗り出した。他工場と協力して一からの加工開発は同社としては初の試み。森原取締役は「皆で共存共栄をしていかなければ」として、「今後も組みながら加工の開発を進めていきたい」と話す。

 同社は、部分的に色の抜け具合を変えることで濃淡を表現する段落ち抜染の技術を生かした製品ブランド「バッセンワークス」を展開してきた。戸板取締役は「製品事業でも連携がキーワードになってくる」と説明する。同社のある三備産地は、デニムなど布帛が中心の産地。製品でも布帛製が多いが、戸板取締役は「今後はニットなど、広い視野で他社とコラボレーションした商品開発をしていきたい」と話す。