繊維ニュース

特集 今治タオル産地(5)/素材編/タオル需要掘り起こしに貢献/クラボウ/東洋紡STC/シキボウ/レンチング

2022年01月28日 (金曜日)

 新型コロナウイルス禍によって繊維製品の需要が減退する中、今治タオルも少なからず影響を受けた。変異株による感染再拡大への懸念が高まる一方で、ようやく経済正常化に向けた動きも顕在化する。このため今治タオル産地での糸消化も徐々に回復に向かっている。紡績各社や原綿メーカーは、サステイナビリティーや機能性など新たな価値の提案を通じて、タオル需要の掘り起こしに貢献することを目指す。

〈タオルも「ループラス」始動/クラボウ〉

 クラボウは、今治タオル工業組合と提携し、アップサイクルシステム「ループラス」によってタオル製造時に発生する捨て耳や残糸、C反などを反毛して紡績糸に再生する取り組みを本格化させた。

 同社は同工組のほか、奈良県靴下工業協同組合、播州織産地の播州織産元協同組合、兵庫県繊維染色工業協同組合、播州織工業組合、播州織整理加工協会とも提携し、産地間連携も含めた形でループラス普及を進める。

 例えば今治タオル産地で発生した再生原料による糸でタオルを生産するだけでなく、靴下や「播州織」にも相互利用できる。近年、アパレル・小売りがサステイナブル素材に注目する中、クラボウは「産地と産地、製造現場と販売現場をつなげる役割を『ループラス』で担いたい」と話す。

 今治タオル産地では既にループラスの糸を使った商品企画が始まっており、4~6月には生産が始まるもよう。これに合わせてクラボウはループラスの糸の一部備蓄販売も検討する。

 そのほか、原綿改質による機能綿糸「ネイテック」、実績豊富な中空紡績糸「スピンエアー」、良質な米綿を使った「テキサスホワイト」にさまざまな技術を融合した特殊糸の提案にも力を入れる。

〈超長綿、改質、サステ拡充/東洋紡STC〉

 東洋紡STCは、今治タオル産地に向けて、同社の強みである超長綿、改質技術、サステイナブル原料を活用した糸提案を拡充する。

 同社の2021年度(22年3月期)のタオル向け糸販売は回復基調にあるものの新型コロナウイルス禍前の19年度水準には至っていない。そうした中、比較的販売が堅調なのが超長綿使いやオーガニック綿使い、消臭機能糸「デオドランC」など独自の改質原綿使いの糸だ。

 この強みを引き続き打ち出す。超長綿は世界的に価格が高騰しており、供給不足も深刻化した。同社は長年にわたって米国やインドなどから超長綿を調達してきた実績を生かし、安定した糸供給力がある。機能性へのニーズに対しても独自の原綿改質技術や紡績技術で機能性を付与した糸の提案に取り組む。

 タオル分野でもサステイナビリティー素材への要求が高まる。やはり長年にわたってオーガニック綿糸を調達してきた信頼感を生かし、そのほかにもさまざまなサステイナビリティー原料を調達・活用する。

 綿花高騰によって糸値も上昇していることから、純綿糸のほかに綿高混率糸も提案する。機能性を付与することでコスト競争力を維持しながら付加価値を実現したい需要家の要望に応える。

〈サステ切り口で独自性/シキボウ〉

 シキボウは、タオル用途にも原料と紡績技術によるサステイナビリティーと機能を切り口とした独自性の強い糸提案に取り組む。

 現在、タオル向けに重点提案しているのが鞘に綿、芯にポリエステル短繊維を配置した2層構造紡績糸「クイックドライコットン」。2層構造による吸汗速乾性や鞘部分に綿を配置することによる肌触りが特徴となる。

 綿にオーガニックコットン、ポリエステルに再生ポリエステルを使った「クイックドライコットンエコ」も用意した。さらに燃焼時の二酸化炭素発生量が少ない特殊ポリエステル繊維「オフコナノ」を使用したタイプの試紡も進めており、サステイナビリティーも重視した開発と提案が進む。そのほか、綿100%の吸汗速乾機能加工糸「シードライハイパー」もタオル用途で積極的に提案する。

 近年、同社の糸の売り先であるタオルメーカーではネット通販のウエートが高まっていると言う。このためインターネットで消費者に明確な特徴を打ち出せる糸へのニーズが高まる。こうした訴求材料としてサステイナビリティーと機能性を打ち出すことでタオル需要の掘り起こしに貢献することを目指す。

〈「テンセル」の存在感高まる/レンチング〉

 レンチングのHWMレーヨン「テンセル」モダールがタオル用途でも存在感を高めている。2021年に今治産地で製造されたテンセル使いタオルが高級ホテルのアメニティータオルに採用された。そのほか、ライフスタイル系の通販企画でもテンセルタオルが登場した。

 テンセルタオルを採用したのはアスコット社(シンガポール)が運営する高級ホテル、アスコット丸の内東京(東京都千代田区)。天然の木材を原料にし、植林計画と合わせた資源活用や生産プロセスでの水使用量の削減、生分解を持つなどテンセルの環境に配慮した特性が評価された。同様の動きが他のホテルチェーンにもある。

 「おうち時間を充実させる」をテーマにソニーグループが運営するライフスタイルコミュニティーメディア「MANEKU」でもオリジナルタオルにテンセルモダールが採用され、「ふんわりサステナブルタオル」として販売が始まった。

 海外では原液着色でテンセルモダールにインディゴカラーを実現する「インディゴカラーテクノロジー」がタオルでも採用されている。サステイナビリティーや吸水性などの機能、色表現などテンセルモダールの多彩な特徴をタオルで活用する動きが加速する。