特集 19thジャパン・ヤーン・フェア&総合展「THE尾州」(3)/近藤紡績所/サイボー/新内外綿/高田編物/AMIu(アミぅ)/滝善
2022年02月10日 (木曜日)
〈三つのテーマで特徴集約/近藤紡績所〉
近藤紡績所(名古屋市中区)は、①原料②やわらかさ③サステイナビリティーの三つのテーマで糸の特徴を集約し、分かりやすくまとめる。
原料の特徴を最大限に生かした「シーアイランドコットン(海島綿)」は最も長い繊維長を持つ超長綿。原料自体に天然の撚りが多く入っているためバルキー性や光沢、滑らかさを兼ね備える。
“やわらかコットン”シリーズでは、甘撚りカード糸の「ほたか」と、ほたかを改良した「さらしな」を中心にそろえる。撚り回数や原料の配分を調節し毛羽立ちを抑え、耐久性を向上させた。
“サステイナビリティー”では主に、落ちわたをアップサイクルした糸を紹介。カード糸の落ちわたが原料の「レナルス」、コーマ糸の「クムルス」を訴求する。
今回展は、糸だけでなくアパレルや肌着の参考展示品も増やす。
〈植物由来ポリのフルダル糸/サイボー〉
サイボーは、環境配慮素材シリーズの「エコリアル」を紹介する。その中でも原料に植物由来エチレングリコールを使ったフルダルポリエステルの提案に重点を置く。昨年10月から展開を始めているが反応は良好で、展示会を通じて販売拡大を図る。
部分植物由来ポリエステルのフルダルタイプは、エコリアルの目玉商品の一つで、スポーツやインナー、学販分野をターゲットに提案する。部分植物由来ポリエステルでは先染め糸(7色)もラインアップしている。
環境負荷低減やサステイナビリティーへの対応が問われる中、エコリアルのバリエーション充実に力を入れており、再生ポリエステルの原着糸もそろう。原着糸はGRS(グローバル・リサイクルド・スタンダード)認証を取得している。
〈廃棄繊維を糸に“彩生”/新内外綿〉
新内外綿は廃棄繊維のリサイクルシステム「彩生」、花や草木などの天然由来の染料を使ったメランジ糸「ボタニカルダイ」、そしてオープンエンド糸「フラッフィー」と「ハスキー」を展示する。
彩生は2020年にスタートした裁断くず、不要となった生地、縫製品を反毛して、再び糸にするという独自のリサイクルシステム。国内では再生糸500㌔を最小受注量とし、今年からタイの協力工場でも1㌧を最小受注量にこの取り組みを始めた。
ボタニカルダイは天然由来染料を使いながら化学的な処理によって実用的な染色堅ろう度を実現した染め糸。花、草木などから抽出した計19色がある。糸の原料はオーガニックコットン100%や精製セルロース繊維「テンセル」リヨセルを使う。安全性の国際規格「エコテックス規格100」のクラス1も取得済み。
〈独自技術を駆使したリリヤーン/高田編物/AMIu(アミぅ)〉
高田編物(愛知県江南市)は今回展で、独自技術を結集したリリヤーンを多数展示する。販売はAMIu(同、アミぅ)が小ロットから対応する。
独自技術を支えるのは、多くのカスタムを重ねた設備の数々。編みながら撚りを掛けたり、撚りの強度や速度を変えながら他に類を見ないリリヤーンに仕上げる。高田剛社長は「JYFは数少ない発表の場。いかに来場客にインパクトを与えるかが大事だ」と話す。
今回展も、独自性の高い糸が豊富に並ぶ。一例として、ファー使いの糸は毛足の長さを調整しながらバリエーションを増やす。「SZリリヤーン」として紹介するのは、撚り回数を調整しながらS撚りとZ撚りを加えたリリヤーン。編み地にすると、組織が乱れることも少なく、奇麗な曲線を持つ柄を形成する。
〈リサイクル糸中心に訴求/滝善〉
滝善(愛知県一宮市)は、落ちわたや再生可能原料由来のリサイクル糸を中心に訴求を図る。顧客からの興味や関心が高い、サステイナブルな糸として提案を強化する。
主に縫製工場の裁断くずや紡績工場の落ちわたが原料の13番双糸「マチス」はウール80%・カシミヤ20%の紡毛糸だ。選別が難しいカシミヤは熟練の技術による手作業で分別された原料を使う。10色展開で、製糸した後に染色を施したオフホワイトもそろう。
梳毛原料の落ちわたと再生PET由来のポリエステルを混紡した48番双糸の「リュープ」はウール・ポリエステルを50%ずつ配合。編み地にするとサラサラとした風合いで、形態安定性にも優れる。24色展開で、6色は常時備蓄している。
春夏向けには27色展開でヘンプ100%の糸をそろえる。シャリ感と涼しげなタッチが特徴だ。