LIVING-BIZ vol.79(7)/錦之堂インターナショナル/S’UIMIN/ジヌスジャパン

2022年02月16日 (水曜日)

〈寝具/コスト増の転嫁テーマ/価格政策に難しさ〉

 寝具、インテリア業界では引き続き、コストアップへの対応が大きなテーマとなっている。円安、海上運賃値上げ、原材料価格上昇などを受けて販売価格への転嫁を図る卸・メーカーが目立つ。

 寝具製品を扱う商社によると、中国からの輸入軽寝具は足元で、21年年初と比べて約20%のコスト増となっている。21秋冬の寝具寝装品は契約済みのため納品価格への転嫁が進まず、メーカー、商社サイドが負担せざるを得ない面があったが、22春夏向けの一部や、22秋冬向けでコスト上昇分の一部を販売価格に上乗せする交渉を進める。

 国内でも製造コストが上昇する。毛布メーカーによると、毛布の製造コストが糸や染料、副資材、エネルギー費の値上がりで、前年より1割程度上がっている。「価格転嫁が、これから本格化する22秋冬向け商談の焦点になる」と強調する。

 ある寝具製造卸は仕入れコストの増加を受けて、22秋冬向けで「素材など中身を変えて価格維持を図るとともに、一部商品の値上げを打ち出していく」考えを示す。

 一方で、値上げに慎重な寝具メーカー・製造卸もある。寝具製造卸の龍宮(福岡県うきは市)は、「綿花・綿糸の高騰、薬剤や資材の値上げが続いているが、この1年は価格を維持する予定」とする。ただ「コスト増が長引けば(値上げを)考えないといけない。そうなったとしても、価格以上の価値があることを伝えて買っていただく活動が必要」と話す。

 寝具製造販売のSINGS(岡山県倉敷市)は、23年1月期で増収減益を計画する。「原材料などのコスト高で厳しさがあるが、当面価格転嫁せずにシェアを拡大する」方針を示す。

 企業間で取引されるモノの価格は上昇するが、実質賃金は上がっておらず、大幅な値上げは消費に水を差す可能性もある。価格転嫁と、市場環境を踏まえた価格政策が難しい一年になりそうだ。

〈錦之堂インターナショナル/快適な寝姿勢と寝返り両立/支点を添える新発想で〉

 ベッド・マットレス製造の錦之堂インターナショナル(岐阜県大垣市)は、快適な寝姿勢の保持とスムーズな寝返りを兼ね備えたマットレス「ソエル」を開発した。3月下旬に発売する。

 ポイントは“支点を添える”という発想で、寝返りと姿勢のコントロールという二つの要素を両立させたこと。六角形を2枚つないだ形状の「ソエルパッド」を、頭・腰・足の部分に配置することで、体の重みを周囲に分散しながら、力が逃げないように沈み込みを抑えて支点を形成。寝姿勢を維持しながら、より少ない力で無理のない寝返りをサポートする。

 ソエルパッドには、防湿・抗菌・断熱・保温性などを備えた再生可能な新素材「IXPE」を採用。軽く衝撃吸収性、復元性、耐久性も高い。らせん状に設けた通気孔で通気性を保ち、適度なしなりで強度とフィット感を生み出す。体の沈み込みをしっかり押さえる15㍉の厚手と、全体を適度な力で支える10㍉の薄手がある。薄手は背骨の屈曲ラインが小さめの人にもフィットしやすい。

 パッドの厚みや位置は体格に合わせてカスタマイズ可能。足のむくみや腰の痛み、好みの寝姿勢などに応じた配置もできる。マットレスのローテーションにも対応し、長く使える。

 厚手のパッド×立体網状構造体「カルファイバー」のサポートレイヤー、薄手のパッド×低反発素材のサポートレイヤーのマットレス2種類のほか、手持ちの敷寝具の上に重ねて使うトッパーも用意した。

〈S’UIMIN/5億円を資金調達/睡眠計測サービス拡大へ〉

 筑波大学発のスタートアップ企業のS’UIMIN(東京都渋谷区)は、化学商社の長瀬産業(東京都中央区)と帝国通信工業(川崎市)を引受先とする総額5億円の資金調達を実施した。脳波測定ウエアラブルデバイスとAI(人工知能)を駆使した自動解析による睡眠計測サービスの拡大へつなげる。

 S’UIMINは、世界トップレベルの研究拠点である筑波大学「国際統合睡眠医科学研究機構」を母体にし、脳波を測定できる独自のデバイスから得られるデータをクラウド上のAIで解析して睡眠状態を高精度で可視化するサービス「インソムノグラフ」を提供している。

 今回の資金調達はシリーズB(経営が軌道に乗り安定化し、収益が伸びていく時期)で実施。調達した資金は、健康診断や人間ドックにおけるオプションサービスの拡大、新規デバイスの開発、電極量産のための資金、ビッグデータビジネスに向けた基盤構築などに使用する。

 これまでに行った資金調達は累計約14億円に上る。

〈ジヌスジャパン/ブランド初の枕発売〉

 ネットで消費者に直販するD2Cの寝具・家具ブランド「ジヌス」を展開するジヌスジャパン(東京都港区)は1月、ブランド初となる枕シリーズを発売した。

 新型コロナウイルス禍を背景に、機能性枕が堅調な売れ行きを見せる。同社もラインアップに加え、アマゾンやジヌス公式の楽天市場店などで販売している。

 全3種類。「ウェッジピロー」は、六つの形状に変形させ多様な使い方ができるマルチピロー。高反発ウレタンで体が沈み込みすぎず、綿ファスナーで固定するため用途に応じて変えた形がズレにくい。足枕や腰枕、背もたれ枕などのほか、ストレッチシーンやテレビ鑑賞時のごろ寝用としても使える。持ち運びしやすいように持ち手も付けた。6600円。

 「グリーンティー低反発ピロー・ソフト」は、人気マットレス「グリーンティー」シリーズの枕版。マットレス同様、緑茶成分を配合した低反発ウレタンを用いた。人間工学に基づいた頸椎支持形状、緑茶成分による抗菌防臭効果などが特徴だ。「デュアルピロー・ソフト」は、グリーンティーシリーズの低反発ウレタンと、マイクロファイバーわたの2種類の感触が楽しめる。各2970円。

〈「ハイムテキスタイル」/6月に開催決定〉

 新型コロナウイルス禍で1月の開催が見送られた、ホームテキスタイル・コントラクトテキスタイルの国際見本市「ハイムテキスタイル2022」が、6月21~24日に開かれることになった。会場はドイツ・フランクフルト国際見本市会場。

 産業用繊維・不織布の国際見本市「テクテキスタイル」、縫製機器・関連加工技術の国際見本市「テックスプロセス」と同時開催となる。

 現在出展者を募集している。詳細の問い合わせや申し込みはメッセフランクフルト ジャパンの海外見本市チーム(電話03・3262・8444、またはEメールinfo@overseas-fairs.com)まで。