両角みのりのイタリアモードの今(42)/第34回ミラノ・ウニカ 23春夏/絶えまぬ挑戦と若手の育成

2022年02月17日 (木曜日)

 1~2日、イタリアのローフィエラ会場で「ミラノ・ウニカ」(MU)が開催された。いまだ続く新型コロナウイルス禍という多くの不確実性にもかかわらず、前年同時期展に比べて27%増となる計342社(イタリア企業290社、外国企業52社)が出展し、来場企業数は計3600社(16%増)となった。外国からの来場は前回に比べ35%増と大幅な成長を見せた。初日には入場レセプションのための長い列が久しぶりに見られた。

 今回特徴的だったのは、会場正面入り口にMU HOTELと名付けられたサステイナビリティートレンドの専用エリアが設置され、そこからトレンドへと発展させるレイアウトだ。MU HOTELは長期間の自粛から旅行に出て、新しい場所や異なる文化を共有する架空の場所で、全世界のコミュニティーが求めている再出発の必要性を象徴している。

 2020年2月展以降出展を見合わせていた日本コーナー、「ジャパン・オブザーバトリー」(JOB)の復活はうれしい限りだった。出展は10社と1グループ、そしてJOBプラスと呼ばれるハンガーサンプルによる出品で構成された新しいブースで、12社が参加した。

 「ジャパンデニム」は広島から3社が出展し、環境に配慮した取り組みをアピールした。豊島の食品廃棄物を利用したフードテキスタイルシリーズはナチュラルな風合いで人気を博した。

 「シルクテキスタイル・グローバル推進コンソール」は京都の伝統産業である西陣、丹後、友禅の連携強化により世界的な産地を目指している。民谷螺鈿(たみやらでん)の貝殻を織物に織り込んだきらめく生地は、シルクを中心とした意匠糸や立体感のある織物が斬新。カラフルなデザインにより生まれ変わり、ボンバージャケットの背面を飾るなど日本の伝統工芸の新たな可能性を感じさせた。

 JOBプラスでは、高品質オーガニックコットンで広く認知される前田源商店が、和紙を使ったジャカードやコモレビ企画のジャカードを出品。木の間からこぼれ落ちる太陽の光や陰を織物組織によって生地の上に描き出した。1891年創業の渡縫織物はシルクを中心とした繊細な生地と深みのある染めでデザイナーから高評価を受けた。

 消費の回復、パンデミックの圧力の低下、売り上げの改善は出展者とバイヤーの両方にプラスの影響を与えている。しかし一方で、原材料コストの急激な上昇や物流スペース不足と輸送コストの上昇、加えて企業コストを圧迫する電気料金の上昇などの問題がある。

 MU代表のアレッサンドロ・バルベリス・カノニコ氏は、持続可能性、デジタル化、柔軟性の向上はグローバル化において引き続き目指すべき課題だが、若い世代の育成に加え、魅力的でやりがいのある労働条件を構築すること、そのための担当機関の新たな教育的な推進力の貢献も欠かせないと述べた。23春夏は本当の意味での「再生」のシーズンになればと思う。

もろずみ・みのり 2003年よりイタリアに渡り、建築デザインとファッションを中心とした企業視察や通訳を務める。16年からImago Mundi代表。