インドネシア東レグループ/素材の高付加価値化急ぐ/アジアの拠点で連携強化
2022年03月09日 (水曜日)
インドネシア東レグループが、現地から供給する原糸、原綿、生地の高付加価値化を急いでいる。来期(2023年3月期)に向け、現地の工場に加え、マレーシア、タイ、日本の東レグループの生産拠点とも連携を強める。
山本浩房在インドネシア国東レ代表は2月中旬のオンライン取材で「製造や物流にかかるコストの上昇が続き、いかに円滑に価格転嫁を進めていくかが差し迫った課題」とし「低価格で汎用的な素材よりも、機能や高品質といった東レグループの強みが生きる素材、そして最終製品までの商流を見据えた提案を強める」と述べた。
山本代表は素材の高付加価値化に向けた道筋について、「インドネシアでも新型コロナ禍以前から行なってきた最新の製造設備への更新、増設を進める」とし「東レグループ全体で見た時、インドネシアにどの生産品種を移管するか、設備対応をどうするかという製造拠点の効率化、最適化を日本の本部と共に計画・実行していく」と話した。
同グループ6工場の今年度(22年3月期)の生産・販売状況は前期に比べ大幅に改善する見通し。世界の衣料品消費がやや上向いたことや“環境”を付加価値とする商材へのニーズが高まったことなどが影響した。
利益面では製造原価の高騰や物流コストなどの上昇に苦しんだ。各社で順次、商材の“高度化”、同時に価格転嫁を進める。今期も新型コロナウイルス感染症によるインドネシア政府の行動規制が続いたが東レの拠点への影響は軽微だった。
合繊糸・わた製造のインドネシア・トーレ・シンセティクスは、リサイクルポリエステルの需要の高まりで業績を大きく伸ばした。同グループ以外でも供給量が増えているという。3月から衣料用リサイクルナイロンの供給も始まり、“環境”を切り口とした素材の販売を強める。
紡織のイースタンテックスは綿混シャツ地の輸出が主力。欧米アパレルの縫製拠点があるトルコ、バングラデシュなどへの供給がほぼ19年並みにまで回復した。今期は綿花、電力、サイジング糊剤などの値上がりに対応するため価格転嫁を進めた。来期は環境の付加価値をアピールできる再生ポリエステルを使った生地やストレッチ織物といった付加価値のある商材の提案を強化する。