三起商行「ミキハウス」/中国市場を意識/百貨店向け施策も強化

2022年03月10日 (木曜日)

 「ミキハウス」ブランドを展開する三起商行(大阪府八尾市)は、主要販路となる国内百貨店向けのベビー衣料、新型コロナウイルス禍の中でも堅調さを維持する海外向け卸販売ともにハイエンド市場に向けた販売手法や製品の提案を強める。

 同社の2022年2月期は新型コロナ禍の影響が濃かった21年2月期(売上高約166億円)から回復、売上高は170億円を超えると見込む。中国の直営店での直販と卸売事業の伸びが全体をけん引した。対して国内市場向け販売は、ギフト用途が堅調だったが、店頭販売用途が新型コロナ禍の影響でふるわなかった。木村皓一社長は、「中国市場の購買力は圧倒的。当期の売上高に占める国内・海外比率は概算で半々、今期(23年2月期)には逆転する」と見通す。

 中国市場では現在も同社製品の取り扱いを希望する企業が全土に増えていることから、「まだまだ伸び代がある」とみており、ハイエンド市場向けの新ブランド「ミキハウス ゴールドレーベル」の販売も中国が中心となるとみる。

 国内市場向けの施策では産院との協業による販路拡大に加え、妊娠中の母親が安心して買い物できる百貨店売り場作り、製品提案に注力する。新型コロナ禍が収束してのインバウンドの回復にも期待を寄せる。

 20年に急拡大を見せた自社ネット通販事業は、当期は落ち着きが見られると言う。木村社長は、「販売平均単価がやや安く、管理費、人件費を中心にコスト高傾向がある」と指摘し、コスト面との兼ね合いの見極めを進める。

 至近の課題として、各種コスト高、ウクライナに対するロシアの軍事侵攻による情勢の不安定化を挙げる。コスト高に対しては新製品にコスト高を織り込んだ価格を設定、商流全体で公平に負担することでの対応を図る。

 ウクライナ関連ではキエフとハリコフにある卸先への販売が見込めなくなったことに加え、ロシアのモスクワの卸先でも決済システムが使えないことから「開店休業状態が続いている」という。今後の情勢を見極めながら対応を進める。

〈ハイエンド提案強める/ミキハウス22新製品〉

 三起商行は、このほど本社で開いたミキハウスの新作展で、新生児・幼児向けの新ブランド「ミキハウス ゴールドレーベル」を発表した。海島綿、カシミア、シルクなど高品質で希少な素材使いの生地を丁寧な国内縫製で仕上げ、シンプルな上質さを提案した。

 女児向けに特化した色柄やデザインに再構成した「チエコ サク」を発表、アメカジテイストの幼児服ブランド「ダブルB」では販売戦略も交えたリニューアル方針など各ブランドを公開した。販路施策では国内市場向けでは全国の産院と協業する。

 現在の30カ所から増やし、出産準備段階からの関係作りを図る。

 販売手法では衣料品、寝具、ギフトなどのほか、ベビーカーなど同社が仕入れた商品を含めての品ぞろえとさまざまな相談に応じるラウンジを併設したワンストップ型の売り場を百貨店向けに提案した。

 同社の在庫管理システムとリンクしたタッチパネル型の情報端末を通じ、来店者が自ら商品を選んで購買・配送手段を選択できるシステムも展示するなど多様化している購買スタイルに応じた販売手法の提案を強化する。

 このシステムは2021年に設立したマーケティング本部の主導で開発、既に国内百貨店の八つの売り場で導入されている。