シキボウ/経血対応の消臭、防汚/フェムテックPTで開発

2022年04月04日 (月曜日)

 シキボウはこのほど、女性特有の性や健康に関する問題解決を目指すフェムテック商品として、経血に対応した消臭加工「フェミュー」、防汚加工「ノアード」をそれぞれ開発した。社内に立ち上げた女性従業員によるフェムテックプロジェクトチーム(PT)が開発し、検査機関とも連携して機能を評価・確認している。生理用吸水ショーツなどフェムテック製品に向けて提案を進める。

 近年、女性の人権尊重や社会での活躍促進を求める声が大きくなる中、女性特有の悩みを解決するフェムテック製品へのニーズが急速に拡大している。シキボウも女性従業員10人から成るフェムテックプロジェクトチーム「Mechi」(ミチ)を立ち上げた。

 開発に当たって、まずは月経に焦点を当てて調査したところ、多くの女性が臭いを気にしていることが分かった。このため経血の臭いに対応した消臭加工としてフェミューを開発した。

 消臭加工は通常、臭い成分を特定し、吸着・中和することで機能を発現させる。例えば汗の場合はアンモニア、酢酸、イソ吉草酸が主要な臭い成分となる。しかし、経血にはトリメチルアミンやメチルメルカプタンなども含まれていることから、これら臭い成分も吸着・中和できるように加工技術の改良を進め、経血対応の消臭加工を実現した。

 経血は通常の血液には含まれていない成分が多く、粘性が高いため汚れが落ちにくい。このため既存の血液汚れ対応防汚加工を改良し、経血汚れにも対応した防汚加工としてノアードを開発した。

 開発に当たって、フェムテック関連の評価技術開発に力を入れているボーケン品質評価機構との取り組みを進めた。経血対応消臭加工では経血の臭い成分の分析や試験方法の共同研究を進めている。防汚加工の開発では、ボーケンが開発した人工経血を活用した。生理用繊維製品は汚れが目立たないように濃色を使うことが多いため、防汚性の評価も通常の目視ではなく、ボーケンの蛍光反応方式を導入した。

 フェミュー、ノアードに、既に実績が豊富な敏感肌対応加工「ラ・モルフェ」を加えてフェムテック対応加工として打ち出す。オーバーパンツや吸水ショーツ、布ナプキン、不織布製生理用ナプキンなどの用途に提案を進める。6~8日に東京ビックサイトで開催される「サステナブルファッションEXPO春」と、12~15日に同社本社(大阪市中央区)、20~22日にプラザマーム(東京都中央区)で開催する同社展示商談会で披露する。

〈24年度に売上高420億円/繊維事業は総合力高める〉

 シキボウはこのほど、2022年度(23年3月期)から24年度(25年3月期)までの3カ年中期経営計画を策定した。最終年度となる24年度には連結で売上高420億円、営業利益25億円、経常利益22億円、純利益15億円を計画する。このうち繊維事業は売上高230億円、営業利益5億円を計画する。

 新中計では「経営基盤の強化」「次の革新的成長に向けた取り組み」「サステイナビリティー経営への取り組み」を基本方針に掲げる。経営基盤の強化として化成品事業と複合材料事業を新たな中核事業と位置付け、事業規模拡大に取り組む。市場開拓に向けた設備投資やグローバルネットワークの連携強化などに取り組む。資本効率を重視した事業ポートフォリオの見直しも実施する。

 繊維事業は、セグメント内外での垂直・水平連携強化で生産・販売・開発技術の総合力を高めることを基本戦略とする。その上で①既存市場の変化に対応した新規開発と市場開拓②分野の垣根を超えた営業・生産基盤の一体化③グローバルネットワーク連携強化による海外販売拡大④環境配慮型商材の開発と販売強化――に取り組む。

 サステイナビリティー経営に向けて重要課題の特定も進めた。「気候変動対策」「資源循環型社会実現への貢献」「雇用(働きやすさ)」「お客様の安全衛生への貢献」「サプライチェーンマネジメント」「コーポレートガバナンス強化」に優先的に取り組む。