紡績企業のフェムテック開発/女性従業員の力が不可欠/検査機関の役割重要に

2022年04月18日 (月曜日)

 近年、急速に関心が高まっているフェムテック。女性特有の悩みを解決するソリューション開発が紡績企業でも加速している。フェムテック開発には女性従業員の力が不可欠となる。(宇治光洋)

 フェムテックは、female(女性)とtechnology(テクノロジー)を組み合わせた造語で月経やセクシャルウエルネス(性交時の心理的、身体的健康)、妊活、妊娠・出産、更年期などに関する女性特有の悩みを解決する技術や製品、サービスを意味する。繊維製品ではオーバーパンツや生理用吸水ショーツ、布ナプキン、不織布ナプキンなどがある。女性の社会進出や人権尊重が一段と重要になる中で、紡績業界でも注目分野として開発が強化されている。

 フェムテック開発では、「女性従業員の活用が重要になる」(シキボウ)といった声は多い。女性特有のデリケートな問題を扱うだけに、専門性を欠く男性従業員が中途半端に参加すると自由な議論の妨げになる場合があるからだ。営業でも取引先の担当者が女性のケースが多く、やはり男性の営業担当では商談を円滑に進めにくいとの指摘がある。このため紡績企業も女性従業員を中心としたプロジェクトチームを立ち上げ、フェムテック開発に取り組むところが出てきた。

 シキボウはフェムテックプロジェクトチーム「Mechi」(ミチ)を立ち上げた。シキボウから6人、子会社のシキボウ江南(愛知県江南市)から4人の計10人の女性従業員で構成する。経血対応の防臭加工「フェミュー」、経血対応の防汚加工「ノアード」を開発するなど成果が上がる。

 長谷虎紡績(岐阜県羽島市)の子会社であるファーベスト(東京都中央区)は入社1、2年目の女性従業員3人が中心となったプロジェクト「ぬくもりLab」を立ち上げ、フェムテックに参入した。同社の高純度微粒子セラミックス練り込み機能繊維「光電子」を活用し、フェムテック向けテキスタイルブランド「efe」(エフェ)を立ち上げている。

 フェムテックは新しい分野のため検査機関の役割も大きい。開発の前提となる基礎データの分析や機能性を確認するための試験方法の開発が求められている。こうした中、ボーケン品質評価機構はフェムテック関連の開発を重点テーマの一つに挙げ、実際にシキボウのフェムテック開発にも協力した。

 経血対応消臭加工では経血の臭い成分の分析や試験方法の共同研究に取り組む。防汚加工の開発でもボーケンが開発した人工経血が活用された。生理用繊維製品は汚れが目立たないように濃色を使うことが多いため、防汚性の評価も通常の目視ではなく、ボーケンの蛍光反応方式が採用された。検査機関は検査技師を中心に多くの女性スタッフを抱える。「こうした人員構成もフェムテックで強みとなる可能性がある」(ボーケン)。

 繊維産業の中でも保守的だと思われがちな紡績業界でも、フェムテックをきっかけに女性従業員の重要性が一段と高まっている。