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春季総合Ⅳ(15)/トップインタビュー/カケンテストセンター/数と質の両方で人の力を向上/理事長 寺坂 信昭 氏/中計最終年度も単体で利益を

2022年04月26日 (火曜日)

 2022年度(23年3月期)に中期経営計画の最終年度を迎えたカケンテストセンター(カケン)。2年目の21年度は、東京事業所のバイオラボ開設といったこれまでの投資が実を結び、単体黒字化を達成した。寺坂信昭理事長は「利益計上が1年で終わっては意味がない」とし、最終年度も機能性試験や安心・安全などを軸に業績を伸ばす。

  ――ウイズコロナ時代に成長するために求められる要件は。

 新型コロナウイルス感染症が拡大した当初は「アフターコロナ」という言葉を聞きましたが、昨年ぐらいから「ゼロコロナにはならない」という見方が強くなっています。まさにウイズコロナ時代に入ったと言えます。サステイナビリティーへの関心・意識がこれまで以上に高まり、そうした流れに応じる商品やサービスの提供が不可欠です。

 日本だけを見ても同じです。人口減少などから市場は縮小基調にありますが、機能性や衛生、安心・安全などのニーズは拡大し、人権を含めたCSRも不可欠な要素になっています。それらに対応していく必要がありますが、そのベースは人だと思います。数と質の両方で人の力を高めることがますます重要になってくるのではないでしょうか。

  ――21年度は中計の2年目でした。

 特に上半期が順調で、新型コロナ禍前の19年度を上回る水準で推移しました。下半期は、日本や東南アジア、中国で新型コロナの影響が出て減速しましたが、通年でも19年度の実績を上回る水準で推移しています。東京事業所川口本所のバイオラボ開設や中国の上海科懇検験服務が機能したほか、対人民元で円安に振れたのも寄与しました。

 全体として収入(売上高)は拡大基調ですが、検査・試験の件数は19年の水準には戻っていません。このため手放しでは喜べない状況です。ただ、中計で掲げた大きな目標の一つである単体での黒字化を達成することができました。これについては良かったと思っています。とはいえ、1年で終わっては意味がないのでこれからも確実な利益確保を目指します。

  ――中計が最終年度を迎えましたが、事業環境は。

 中国ではロックダウン(都市封鎖)の措置が取られましたが、ウイズコロナ時代の中で世界的には規制緩和の方向で進んでいます。ワクチン接種や治療薬の開発に伴って経済は回復基調をたどるでしょう。新型コロナ禍でグローバル化の流れに停滞感がありましたが、これは一時的なもので、いずれ正常に戻ると思っています。

 ウクライナ危機は大きな懸念材料です。民主主義と強権国家との対立であり、グローバル化の方向性が変わるかもしれません。エネルギー価格や食糧価格が高騰するなど、さまざまなところで需給のバランスが崩れています。エネルギー価格は上昇を続ける可能性があり、日本はスタグフレーションが起こりかねません。22年度は危うい年と予想しています。

  ――そのような状況下でどのように中計を仕上げますか。

 引き続き機能性試験や安心・安全、CSR監査といった分野をけん引役にすると同時に、一般的な試験・検査も着実に増やしていきたいと考えています。そのほか異業種との取り組みも強化し、これらによって持続的な成長を目指します。納期や適切・的確な助言、品質管理、情報提供などの非価格競争力にも磨きをかけます。

 デジタル技術で企業を変革するDXや合理化なども進めます。合理化の一環として今年7月ごろに本部を移転する予定です。働き方改革と併せて実施し、オフィスの面積は小さくなりますが、機能の強化を図ります。合理化などは本部だけでなく、全体として推進していきます。

  ――次の中計を考える一年でもあります。

 カケンにおいて中国を中心とする海外部門は大きく、重点を置く南アジアを含めて、どのように位置付けて伸ばしていくかという課題があります。そのほか機能性試験や異業種との取り組み拡大などにも目を向けないといけません。後は人をいかに確保・育成するかもポイントです。

〈春を感じる時/小枝から出る緑の若葉〉

 冬至を越えて「少しずつ日が長くなっていくのを感じるのが好き」と語る寺坂さん。寒さは厳しさを増すが、これから明るい時間がどんどん長くなっていくのだと思うと元気になるのだとか。春はその延長線上にあるとし、寒さが和らぐ春分を過ぎて、「庭に植えられている木の小枝から若葉が出ているのを見つけた時に春を感じる」と言う。先日もヤマボウシに若い緑色の芽を見つけた。ここでも元気をもらったと話す。

〈略歴〉

 てらさか・のぶあき 1976年4月通商産業省(現経済産業省)に入省。2004年6月経産省大臣官房審議官、07年7月経産省商務流通審議官、09年7月原子力安全・保安院長、11年8月退官。15年6月冠婚葬祭総合研究所社長、17年8月互助会保証社長を経て、20年7月からカケンテストセンター理事長。