生地の吸放湿性評価/試験方法JIS化/ボーケンが試験受付開始

2022年05月11日 (水曜日)

 繊維製品がどのように湿気を吸収し、放出するのかを評価する新しい試験方法がこのほど日本産業規格(JIS)化された。繊維製品の快適性につながる機能を実践的に評価する方法の一つとして注目されそうだ。ボーケン品質評価機構が新しいJISに対応した試験の受け付けを開始した。

 清涼感など快適性の要素として繊維の吸放湿性は重要な指標となるが、既存の吸放湿性測定方法は平衡状態に達した時の水分率から評価しており、吸放湿速度を評価する試験ではなかった。衣服内の環境は絶えず変化しており、短時間での生地の吸湿量、吸湿速度、放湿速度が着心地の重要な因子となることから、生地の経時的な吸放湿性を測定する試験方法が求められていた。

 このため新たな吸放湿性試験方法の開発が進められ、3月22日付で「JIS L1954 生地の経時的吸放湿性試験方法」がJISとして発効した。JIS化された試験方法は、絶乾、事前調湿、吸湿、放湿の各過程を連続的に計測し、吸湿率、放湿率、吸湿速度、放湿速度の4項目を算出する。これにより経時的な吸放湿性を評価することができ、より実践的な快適性の指標として利用できる。

 現在、ボーケン品質評価機構がJIS対応の試験の受け付けを開始した。同機構は今回の試験方法のJIS開発にも参画しており、保有するボーケン規格の吸放湿試験機でJIS対応の試験を実施することができる。