22年3月期決算/帝人/シキボウ/クラボウ/伊藤忠 繊維カンパニー

2022年05月13日 (金曜日)

〈増収ながら減益に/帝人〉

 帝人の2022年3月期連結決算は、売上高9260億円(前期比10・7%増)、営業利益442億円(19・5%減)、経常利益496億円(7・4%減)、純利益231億円(前期66億200万円の損失)で増収ながら減益だった。マテリアル事業の赤字転落、繊維・製品事業の大幅減益などが響いた。

 マテリアル事業は売上高3851億円(29・7%増)、営業損失57億800万円(前期9億5300万円の利益)だった。自動車用途や航空機用途を中心に販売量は回復したが、一部事業の定期修理や生産休止などが影響し、赤字計上となった。

 繊維・製品事業は売上高2824億円(10・3%減)、営業利益56億4100万円(67・8%減)。新型コロナウイルス感染症による国内市況の低迷や海外工場のロックダウン(都市封鎖)、原燃料価格・物流費の高騰などで全般的に苦戦した。

 今期の業績は売上高1兆円(8・0%増)、営業利益500億円(13・1%増)、経常利益520億円(4・6%増)、純利益280億円(20・9%増)を予想している。

〈原燃料高で繊維は苦戦/シキボウ〉

 シキボウの2022年3月期連結決算は売上高356億円(前期比6・4%増)、営業利益13億5600万円(13・3%増)、経常利益10億3800万円(10・8%増)、純利益4千900万円(399・3%増)だった。産業材事業が産業資材、化成品、複合材料いずれも堅調に推移した。

 繊維事業は売上高186億円(3・9%増)と増収ながら営業損失4億8千万円(前期は1億9200万円の損失)と赤字が拡大した。原糸やユニフォーム地、ニット製品は販売堅調も原燃料高騰によるコストアップやインドネシア子会社の火災と操業一時停止、ベトナムでのロックダウン(都市封鎖)の影響が大きく、利益が圧迫された。中東民族衣装用織物輸出は円安の追い風もあって好調だった。

 今期は連結売上高370億円(3・7%増)、営業利益17億円(25・4%増)、経常利益14億円(34・8%増)、純利益15億円を見込む。

〈繊維は受注回復で損失減少/クラボウ〉

 クラボウの2022年3月期連結決算は、売上高1322億円、営業利益75億2800万円、経常利益87億8300万円、純利益56億200万円だった(当期から「収益認識に関する会計基準」を適用したため前年度比は記載せず)。

 繊維事業は売上高446億円、営業損失1億7700万円(前期は18億2400万円の損失)だった。糸は国内や海外子会社の受注が回復して順調だった。ユニフォーム地やカジュアル素材も回復傾向で推移。繊維製品もカジュアル衣料の受注が増加した。製造、販売の両面で収益改善策を実施した効果もあり、営業損失が縮小した。

 今期は連結売上高1450億円(9・7%増)、営業利益70億円(7・0%減)、経常利益76億円(13・5%減)、純利益53億円(5・4%減)を見込む。

〈純利益が回復/伊藤忠 繊維カンパニー〉

 伊藤忠商事繊維カンパニーの2022年3月期決算は、収益が4447億円(前期比2・2%増)、売上総利益が967億円(8・1%増)、営業利益が136億円(74・0%増)、純利益が251億円(約16倍)の増収増益だった(短信既報)。

 新型コロナウイルスの影響軽減に加え、デジタル戦略やEC強化などによる販売拡大が好決算に寄与した。低重心経営の徹底によるアパレル関連事業を中心とした業績回復もあり、前期の一過性利益の反動もあるものの、増益を果たした。

 主要関係会社の純利益は、ジョイックスコーポレーションが7億円(前期は8億円の損失)、エドウインが16億円(17億円の損失)、三景が5億円(82億円の損失)、香港の伊藤忠テキスタイルプロミネント〈アジア〉が20億円(約2・2倍)、伊藤忠繊維貿易〈中国〉が17億円(54・5%増)。

 今期は純利益260億円を見込む。