三陽商会が新プロジェクト/ブランドの顔作る/自社工場拠点に商品開発

2022年05月13日 (金曜日)

 三陽商会は、全社横断のプロジェクト「商品開発委員会」を昨年5月に発足させ、ブランディングの強化に乗り出した。これまでもコートやスーツの品質に定評があったものの、よりブランドの顔となる商品開発を進める。手始めに、自社工場のサンヨーソーイングを開発拠点にした機能性コート40型などを投入する。

 昨年来から収益の改善を念頭に置いた、仕入れの抑制や品番数の絞り込みを各ブランドで実施。コスト削減に一定の成果が出ており、今後は価値を高めた商品を消費者に訴求する。同社の大江伸治社長は、かねて商品の個性化やブランド価値を高める戦略を掲げており、同委員会で具現化するに至った。22秋冬シーズンから、ブランド横断で取り組んだコートやスーツを販売する。

 委員長を務める加藤郁郎取締役専務執行役員は「国内生産の拠点であるサンヨーソーイング青森ファクトリー(青森県七戸町)、福島ファクトリー(福島市)の設備を増強した」と話す。青森ファクトリーはトレンチコートを軸に高品質なアウターを縫製しているが、新たにダウンジャケットやアウトドア系のアウターも縫製できるようになっている。

 22秋冬は、防水透湿性に優れた合繊生地「パーテックス」を使用したコートを製作する。紳士服の「ポール・スチュアート」「マッキントッシュ・ロンドン」などで打ち出すほか、体温域の自然な温かさをキープする集熱保温繊維「光電子」を採用したアウターを、婦人服の「マッキントッシュ・フィロソフィー」などで提案する。

 多品種、小ロットで対応するコートの縫製工場は世界的にも珍しく「研究開発を実践する工場としても機能させる」とした。さらに福島ファクトリーでは、スーツのクイックレスポンス(QR)に対応するほか、セットアップや機能パンツといった直近の市場で求められるアイテムの縫製も可能になった。