スタイレム瀧定大阪/ファッション分野にサステ素材/有松絞りの熊谷との連携も

2022年05月17日 (火曜日)

 スタイレム瀧定大阪(大阪市浪速区)は、ファッション衣料分野へのサステイナブル素材の投入を増やす。23春夏向けは色目や柄などでトレンド感を意識した生地提案を行うが、ベースの生地には何らかの形で環境に配慮した素材を使う。欧米と比べるとファッション分野における環境対応素材の浸透度は低いといわれるが、積極提案で流れを作る。

 23春夏のテーマは、スポーティーでボーダレスなライフシーンに対応した「アクション」、本質的な価値に焦点を当てた「リバランス」、フェミニンなシティースタイル「チェリッシュ」、ニューロマンティックスタイル「アンリミテッド」の四つ。全体的に明るい色目と表面感・凹凸感のある生地を打ち出す。

 流行に対応しつつ、サステイナブル素材を集めた「エコアーチ」などを組み合わせることで付加価値を高める。その一つが「ベスティコットン」。エーゲ海に面したトルコのイズミルで有機栽培されたコットンで、国際的なオーガニック認証を取得している。再生ポリエステルを使った生地も訴求する。

 インドのレーヨンメーカーであるビルラセルロース社のレーヨン「リバエコ バイ ビルラセルロース」も投入する。製造工程でさまざまな工夫を施しているため、他の天然繊維と比較して約900リットル節水できるほか、排出される温室効果ガスも少ないという。

 有松絞りの技術を継承する熊谷(名古屋市緑区)との取り組みも開始する。有松絞りは木綿絞りの総称で、「有松・鳴海絞」の名称で国の伝統工芸品に指定されている。合繊使いの生地や製品と組み合わせることで現代風にアレンジした。衣料品のほか、バッグや犬用の服などを作った。

 ヘンプの展開も強化する。ヘンプは成長過程での環境への負荷が小さく、綿の代替品として世界的に注目度が高まっている。同社はその普及活動の一環として北海度ヘンプ協会に加盟したほか、ヘンプを使った製品のブランド「キャンバスヘンプ」を立ち上げており、靴下やタオルなどを販売している。