繊維ニュース

特集 快適・衛生機能の繊維(4)/機能の信頼性を支える検査機関/カケンテストセンター/QTEC/ボーケン品質評価機構/大和化学工業・評価技術センター

2022年05月26日 (木曜日)

〈需要に応える多様な試験/バイオラボで抗菌・抗ウイルスも/カケンテストセンター〉

 カケンテストセンター(カケン)は、快適や衛生に関連するさまざまな試験に対応している。東京事業所の川口本所(埼玉県川口市)では、吸水速乾や接触冷感、保温、遮熱、吸湿発熱、消臭といった各種試験に応じているほか、バイオラボで抗菌や抗ウイルス試験などを行っている。

 スポーツ衣料や肌着、靴下、マスクなどを中心に快適性に関連する試験依頼が増えている。カケンはこうした声に応えるため、吸水速乾や保温性、遮熱などの試験機を増強した。2021年度(22年3月期)は吸水速乾試験で前年度比約4・6倍となったのをはじめ、試験件数が大きく伸長した。

 22年度も引き続きアパレルや生地の試験に力を入れるが、繊維以外の業種の需要も取り込んでいく。吸放湿性で壁紙や障子紙の需要を取り込むほか、耐候・耐光試験などにも力を入れる。

 バイオラボは、21年4月に開設した。抗菌試験は黄色ブドウ球菌で始動したが、現在はモラクセラ菌、肺炎桿菌、大腸菌にも応じる。抗ウイルス試験も今年1月にスタートするなど、順次機能を高めた。22年度は異業種との仕事を増やす。

 大阪事業所では防藻性に関する試験を始めている。

〈羽毛の清浄性、衛生性に対応/独自の試験で顧客支援/QTEC〉

 日本繊維製品品質技術センター(QTEC)は、羽毛原料に清浄性や衛生性を求める声に応えている。新型コロナウイルス禍でニーズが高まる中、従来の酸素計数試験や油脂分率試験に加え、1500ミリ以上にも対応可能な清浄度試験、一般生菌数測定試験などの積極提案を行っている。

 羽毛の清浄度試験では、500ミリ以上が基準となっていた。最近では千ミリ以上の要望が増えているが、さらなる差別化を望む顧客も目立ってきた。QTECは特注の透視度計を作製し、1500ミリ以上の試験への対応を可能にした。

 衛生性に関する試験では抗菌性試験が一般的だが、羽毛の評価には適していないのが実情だ。このため日本羽毛製品協同組合(日羽協)が羽毛原料の生菌数を測定する試験方法(一般生菌数測定試験)を開発。QTEC神戸センターが同試験の認定試験ラボに認証されている。

 粉じん計を用いた独自の方法でほこりの発生量を評価するほこり試験も2010年から対応している。吹き出し試験では主にダウンウエア製品を評価する日羽協タンブルドライ法、生地の吹き出し性能を評価するENラビング法の二つに応じることができる。

〈新規試験の開発加速/衛生からフェムテックまで/ボーケン品質評価機構〉

 ボーケン品質評価機構は、社会的ニーズが高まる衛生や快適性に関する新規試験の開発を加速させている。提携先との共同研究・開発も進む。

 新型コロナウイルス禍を契機に需要が急拡大した抗菌・抗ウイルスなど微生物試験は能力拡大を進めた。21年に東京微生物試験センターの増床が完了、22年度上半期中には抗菌試験事業者としての認証を大阪、上海に続き取得予定。また、バイオセーフティ教育などを手掛けるNPO法人、バイオメディカルサイエンス研究会との連携も強化する。

 快適性に関する新しい試験ニーズへの対応も進める。例えば電動ファン付きウエアの性能評価がある。業務提携するユニチカガーメンテックの人体生理特性評価技術を応用した試験方法の開発を進める。気化熱を利用した冷却試験機能評価も共同開発し、6月中には試験受け入れ開始を目指す。

 吸水ショーツなどフェムテック商品に向けた防汚や消臭、吸水性の試験方法も企業や大学との共同研究を推進している。今年度中に国際標準規格(ISO)化される見通しの「繊維製品上の花粉由来タンパク質等の測定方法」に対応した試験の実用化のを目指す。

 注目が高まるE―テキスタイル関連でも国際標準化機構(ISO)や国際電気標準会議(IEC)、日本電子回路工業会などが主催する標準化活動に積極的に参画し、E―テキスタイルの総合的な性能評価技術の獲得を目指している。

〈抗ウイルスマーク対応/SEKの指定試験機関に/大和化学工業・評価技術センター〉

 公的試験機関の大和化学工業・評価技術センター(大阪市東淀川区)は4月から、SEK(繊維評価技術協議会)の抗ウイルスマークの指定試験機関となった。これでSEKの抗菌・抗ウイルスマーク、SIAA(抗菌製品技術協議会)の抗菌・抗ウイルスマーク、日本衛生材料工業連合会の抗菌・除菌マークなど幅広い認証への対応を可能とした。

 評価技術センターは、2009年から産業標準化法に基づく試験事業者登録制度(JNLA)に認定・登録され、公的試験機関として外部からの試験を受けている。繊維加工剤を製造する大和化学工業の事業とは完全に切り離し、独立性を保って公平、公正に運営されている。

 試験内容は抗菌、抗ウイルス、抗カビ、防虫、抗アレルゲン、消臭などを柱とし、抗菌や抗ウイルス試験は昨年から評価設備・人員を増強した。

 昨年から独自の試験方法の提案にも力を入れている。近年は消費者に伝えやすい訴求方法を模索する企業が増え、既存の試験だけでは対応しにくいケースが出てきていることが背景。今後は顧客とのコミュケーションをさらに深め、商品が使用されるシーンを想定しながら、訴求ポイントに沿った試験環境や新しい試験方法の提案を強化する考えで、「長年培った評価技術で、より商品の特徴を訴求できる試験方法を打ち出していく」(井田世志子センター長)とする。