シキボウのユニフォーム地/フェアトレード綿投入/採算悪化への対応課題に

2022年06月03日 (金曜日)

 シキボウは、豊田通商、信友と取り組むフェアトレード綿花「コットン∞」(コットンエイト)を使った生地をワークウエア地に投入する。企業ユニフォーム分野でも要望が高まるESG(環境、社会、ガバナンス)重視やSDGs(持続可能な開発目標)達成を支援する商材として提案する。一方、ここに来て原燃料高騰の影響で採算が急激に悪化していることから、価格改定などの対応が大きな課題となってきた。

 コットン∞は、豊田通商が企画するフェアトレードコットンプロジェクト。国際フェアトレードラベル機構が認証したフェアトレードコットンを8%以上混綿した糸を普及させることでフェアトレードコットンの使用量の拡大を目指す。取り組みにシキボウと信友も参画している。豊田通商が国際フェアトレード認証を取得した綿花を調達・供給し、シキボウが紡績、信友が糸販売を担う。

 シキボウは、コットン∞の糸を使った生地をワークウエア用途にも投入する。近年、企業ユニフォーム分野でもESG重視やSDGs達成に貢献する素材が求められているが、多くは環境配慮に焦点を当てた提案にとどまる。これに対してコットン∞は、開発途上国の農作物を公正・適正な価格で調達し、現地の雇用創出と生産者の生活向上を目指しており、人権尊重に焦点を当てた提案か可能になる。

 一方、ユニフォーム地の課題となっているのが採算の悪化。2022年度(23年3月期)に入って備蓄アパレル向けや企業別注ユニフォーム向けともに受注が堅調だが、綿花や染料・加工剤、エネルギーの高騰で採算が急激に悪化した。

 既に3月から5~10%の値上げを実施したが、その後も原燃料高が進み、採算が一段と悪化している。このため、今年度中に再び値上げに踏み切る可能性も検討する。