中国のユニクロ/ブランド再構築必要な局面に/コロナ禍で積極出店するも

2022年06月08日 (水曜日)

 ファーストリテイリング傘下のユニクロが中国で、経済成長の著しい地方都市に商機を見いだしている。新型コロナウイルス禍でも出店攻勢の手を緩めていない。ただ足元の商況は厳しい。リブランディングが必要な難しい局面を迎えている。(岩下祐一)

 現地メディアによると、中国のユニクロ店舗数は、17日に888店になる。約2年前に日本の店舗数を上回って以来、世界最多が続く。ここ数年、漸減する日本(4月時点で813店)との差が広がりつつある。

 直近の出店エリアは、浙江省嵊州や湖北省荊門など、初進出の地方中小都市が目立つ。こうした都市は近年、経済成長が著しく、消費力が高まっている。ファーストリテイリングの呉品慧グループ執行役員は3月、「毎年80~100店を出店する」と現地メディアに話した。地方都市を主眼に置いているとみられる。

 出店攻勢とは裏腹に、近年の中国事業は精彩を欠く。アリババのネット通販サイト「天猫(Tモール)」が2021年6月に実施したセールの、ユニクロの取引額は5億3600万元で前年比9%減った。同年11月のセールのレディース部門取引額は、昨年までランク外だった「ITIB」がトップで、ユニクロの8連覇は成らなかった。

 21年9月~22年2月期の「グレーターチャイナ」(中華圏)事業は、厳格な新型コロナ感染予防対策が打撃となり、前年同期に比べ減収減益。3月は深圳で、4、5月は上海が都市封鎖した。現地メンズブランド幹部は「成都や杭州の店舗も厳しい。新型コロナ禍のせいで開けたり、閉めたりだ」と嘆く。

 もっともユニクロの中国事業は、新型コロナ禍が始まる前から変調を来していた。背景は、中国市場の環境変化だ。

 その筆頭が消費のアップグレードだ。ユニクロが中国で成功したきっかけは、ブランド化だ。06年末から上海や北京の高級商業施設への大型店出店に乗り出し、高級路線に転じた。これを機に快進撃が始まる。当時台頭しつつあった中産階級に「割高だが高品質な日本ブランド」と認知され、2010年ごろから「ZARA」と「H&M」をしのぐ、中国ナンバーワンのアパレル企業になった。

 しかしその後、消費のアップグレードが進み、ユニクロは「高級」ではなくなる。北京のショッピングエリア・三里屯の店舗が昨年移転したことが象徴的だ。「最も目立つ場所にあるランドマークだったが、高級化を進めるデベロッパーの意向で(同エリアの別の場所に)移転した」と関係者は明かす。

 そしてライバル台頭。19年から品質とデザイン性を高めた現地ブランドを支持する“国潮”(グオチャオ)トレンドが続く。新興ブランドが次々登場し、ユニクロのパイを奪う。

 存在感を増す1990年代半ばから2010年代に生まれたZ世代が、メガSPAを避ける傾向があることも不利だ。彼らは個性を追求し、デザイナーズブランドなどを扱うセレクトショップを好む。

 そもそもアパレルのビジネスモデルが激変し、ユニクロが率先して進めてきたリアルとオンラインを融合するオムニチャネル化ですら時代遅れの感がある。新興ブランドは会員制交流サイト(SNS)でトラフィックを増やし、KOL(キー・オピニオン・リーダー)が、動画を見せて販売するライブコマースで拡販している。

 ユニクロの成否はこうした変化に対応し、ブランドとビジネスモデルを再構築できるかに掛かっていると言える。