ワン・エニー/生地開発に強み/デニム軸に独自生地を提案

2022年06月08日 (水曜日)

 テキスタイルの企画・販売やOEM生産などを行うワン・エニー(岡山市)は独自のテキスタイル開発で評価を得ている。扱う生地の8割は別注で、清大輔社長は「今後も開発を続け、品番を増やしていきたい」と話す。

 同社は2009年の設立。当初はOEM事業が中心だったが、設立から5、6年後から生地の開発と販売に力を入れ始めた。現在は売り上げに占めるテキスタイル事業の割合は7割となっている。

 同社の強みについて清社長は「生地の開発力」と言い切る。デニムを主軸に、さまざまな生地を開発してきており、「現在、在庫しているオリジナル品番は200ほど」と言う。その中で「当社を代表する生地」と話すのが「トゥルーオーガニックコットン」だ。

 1940年代に米国陸軍が採用したチノパン、「41カーキ」の色をオーガニックの茶綿や緑綿をブレンドして紡績した糸で表現。旧式の力織機で織った生地は独特な見た目と自然な手触りが特徴となる。糸の糊(のり)付けには天然由来のでんぷんを用いるなど環境にも配慮する。収穫した年の気候によって綿の色が変化するため、「ワインのように、色番を年号にしている」。

 同社はこのほど、海島綿の原綿調達や綿糸の卸販売などを行うシーアイランドクラブ(東京都中央区)と近藤紡績所(名古屋市中区)の大町工場(長野県大町市)と協業し、米国産の海島綿の落ちわたを使ったデニムを開発した。落ちわたやスライバーの残りかすとバージンの海島綿を混紡して紡績。デニム製造国内最大手のカイハラ(広島県福山市)でロープ染色を行い、織り上げた。

 13オンスの生地は柔らかさに加え、「品の良い光沢感」が特徴。先月、都内で開催された生地商談会「プレミアム・テキスタイル・ジャパン(PTJ)23春夏」で披露したところ、好評だった。清社長は「今後も協業しながら、新たな生地を開発していきたい」と意欲を見せる。