LIVING-BIZ vol.83(4)/SINGS/ウエスティ工業/龍宮/タナカふとんサービス
2022年06月16日 (木曜日)
〈SINGS/ウレタン廃材の敷ふとん人気/月産500枚弱に増産〉
寝具製造販売のSINGS(岡山県倉敷市)では、自社などの製造工程で出るウレタンの廃材を活用した敷ふとんの販売が堅調だ。自社ブランド「スリープメンテ」第1弾として販売している。
これまでブロック状のウレタンを中材用にカットしていく際、形状が整っていないブロックの外面部分は使わず、チップ化して再利用する以外は、廃棄していた。
スリープメンテは、ブロック状のウレタンの外面のうち形状が最も整っている底面のカット廃材を採用。ウレタン廃材に関する特許を持つイノアックコーポレーションと協業して、両社の製造過程で出る廃材を活用する。
ウレタン廃材を使った敷ふとんの中材は3層構造で全て廃材を使用した。“側”(中材を入れる前の半製品)を含む5層の厚みが約10㌢になる。
寝心地が良く、4980円とコストパフォーマンスも高い。卸売りもしていたが、売れ行きが好調で廃材の確保が追い付かず、4月以降は自社のネット販売のみに絞った。
楽天の4月のセールでは、ウレタン廃材を使った5層タイプの敷ふとんが、敷ふとんのデーリー・ウイークリーのランキングで最高2位に入った。
当初は月産200~300枚程度だったが、廃材の回収量を増やし、現在は月産400~500枚程度まで高める。今後は、6月に採用予定の大手小売り向けへ供給を集中させる方針を示す。
〈ウエスティ工業/22年5月期10%増収/和晒しのカバーなど増販〉
カバーリング製造のウエスティ工業(滋賀県愛荘町)の2022年5月期は、前期比10%増収だった。和晒しの掛けふとんカバーなどが業績をけん引した。利益も黒字化した。
自社に縫製設備を持ち、ふとんカバーが売り上げの約9割を占める。
今期は和晒しの2重ガーゼふとんカバーが最も売れた。国内で製織、染色、縫製を行い、染色前の晒加工を和晒窯で4日間かけて行う。薬品を使用しないため生地に優しく、さらに仕上げにソフト加工も施す。洗濯して使い込むほどにふんわり感が増す。春夏は高い吸湿性で蒸れにくく、秋冬は保温性に優れ、通年で使える。寝具専門店やネット小売りなどへ販売する。
海外販売も増えつつある。2年ほど前から台湾企業に販売するが、今期は豪州の日本雑貨を扱う企業と、香港の日本の生活雑貨品を扱う企業へふとんカバーやピロケースを販売した。香港の企業は、ホームページなどを見てアプローチしてきた。
県内の素材を使ったクッションカバーの販売にも力を入れる。麻織物機業の林与(同)の麻生地を使用し、ルイ・ヴィトンの元デザイナーの助言を受けて和を感じさせるように仕上げた「湖国の麻クッションカバー」、琵琶湖の環境を守る植物「葦(よし)」を使ったサステイナブルクッションカバーなども提案し、浸透を図っている。
〈龍宮社長の梯恒三氏著「一品勝負」/苦難多き道のりで培ったモノ作りの哲学〉
寝具製造卸の龍宮(福岡県うきは市)の梯恒三社長著の書籍『一品勝負~地方弱小メーカーのものづくり戦略~』(幻冬舎)が今春出版された。
1992年に誕生し、国内を代表する寝具の一つとなった医療用純度のガーゼと脱脂綿使いの寝具「パシーマ」がどのように生まれ、浸透してきたかを記したものだが、モノ作りの信念や哲学が随所に紹介されている。
同社の歴史は苦難の連続だった。55年に医療用脱脂綿を作り始め、74年の工場火災を発端とする倒産の危機、父で創業者の梯禮一郎氏のアトピー性皮膚炎への悩みからスタートした寝具開発、売れない中での試行錯誤などの歩みが書かれている。
恒三氏は「これでもかという苦難多き道のりだったが、その中で誕生したパシーマという『一品』のおかげで今の私たちがある」と紹介。その中で培った「初心を忘れないものづくりこそ時代を超えて愛される」「愚直に信念を守り、貫き通すことが生きる道」「作りすぎない」「戦略とはなにに時間と手間をかけるかを決めること」など、逆境の中でのモノ作りや経営のヒントになる言葉が散りばめられている。
〈7月に「第10回ITF」/印の繊維企業140社出展/ホームファッションも〉
インドのアパレルとホームファッション(HF)の展示商談会「第10回インドトレンドフェア東京」(ITF)が、7月20~22日に、ベルサール渋谷ガーデン(東京都渋谷区)で開かれる。日印国際産業協会が、インド政府繊維省、在日インド大使館の協力を得て開催する。
新型コロナウイルス禍で1年半ぶりのリアル開催となった3月より、倍以上多い約140社が出展する予定。欧米向けの強みを日本向けに生かす企業、伝統的な手織りや手染めに定評がある企業、環境に配慮したモノ作りやフェアトレードを推進する企業、雇用を通して女性の教育・自立を支援する企業など、時代に合った多様な顔触れとなる。
同国の繊維産業は、「メイク・イン・インディア」を掲げるモディ政権の中で最重要産業の一つに位置付けられている。今年に入り、新型コロナの感染が再拡大し厳しい環境が続くが、生産を再開する工場も徐々に増えてきた。日本からの小ロットの発注を歓迎する企業も多い。EPA(経済連携協定)で繊維品目の関税が撤廃されたのを生かし、日本企業からの発注先・仕入先・生産拠点としてアピールしていく。
〈タナカふとんサービス/昭和西川とコラボ店 北九州市にオープン〉
寝具製造小売りのタナカふとんサービス(愛知県一宮市)はこのほど、寝具製造卸の昭和西川(東京都中央区)とコラボレーションし、北九州市にアウトレット店「NS NISHIKAWA×じぶんまくら ザ・アウトレット・北九州」をオープンした。
タナカふとんサービスと昭和西川のコラボレーション寝具のほか、タナカふとんサービスのオリジナル枕「じぶんまくら」も販売する。軽いほつれや傷がある商品や、展示していたじぶんまくらもアウトレット価格で販売する。非接触型の次世代測定機「アイビーミラー」を用いて、オーダーメードの枕を提供する。