東レ 婦人・紳士衣料事業部/オンリーワン商品で成長/革新複合紡糸技術を世界に
2022年07月19日 (火曜日)
東レの婦人・紳士衣料事業部は、革新複合紡糸技術を駆使して開発した製品の販売拡大に取り組む。ウールの特徴を再現した「キューティクル」、和紙・綿ライクの「カミフ」をはじめ商材もそろったとし、国内外の顧客に提案する。石井慎二部長は「これらのオンリーワン商品の拡販が事業部成長の要」と強調した。
複合繊維の断面形状を任意かつ高精度に制御するのが革新複合紡糸技術の「ナノデザイン」だ。この技術を用いることでこれまで表現できなかったさまざまな特徴が付与できる。キューティクルやカミフに加え、天然シルクのような光沢感を持つ「キナリ」も用意し、天然繊維を思わせる合繊素材が出そろった。
キューティクルは、ウールなどの動物繊維の特徴をポリエステルで表現したバイオミメティクス(生物模倣)生地。ナチュラルであでやかな深みのある発色、さらっとしなやかな気持ちの良い触り心地を実現している。ストレッチ性による快適な着心地やイージーケア性も特徴だ。
カミフは、和紙や綿のような風合いと機能性を両立した。天然繊維のぬくもり、柔らかく、さらっとした心地良い風合いなどが特徴。キナリは光沢感や艶感、軽量感などに優れているほか、ポリエステルによるプリーツ保持性やイージーケア性なども持つ。絹鳴りも付与している。
これら東レにしかない独自性の高い商品を軸に国内外で拡販を狙う。中でも海外顧客への提案は強化する方針で、人員も増やして現状で約30%の輸出比率を着実に高める。市場は欧米や中国、中東が中心になるが、ベトナムをはじめとするASEAN地域の成長にも目を向ける。
石井部長は「今後はキューティクルやカミフなどもバイオ原料や再生原料を使ったタイプに順次置き換えたい」とした。さらに「東レはファッションを諦めない。今期(2023年3月期)だけでなく、来期からの次期中期経営課題でも徹底して販売拡大を目指す」と話した。
〈4社共同でフェムテックサポート実証事業/東レ〉
東レ、あすか製薬(東京都港区)、ネクイノ(大阪市北区)、プレミア・ウェルネスサイエンス(東京都港区)は「経済産業省 令和4年度フェムテック等サポートサービス実証事業」における補助事業者に採択された。
「未病状態のからだケア、素材~製品・サービス連携でのワークショップを通じた行動変容プログラム」として、プレゼンティーズム(欠勤には至っていないが、健康問題が理由で労働生産性が低下している状態)対応の必要性がある20~30代の女性社員を対象とした実証事業を4社コンソーシアム体制で来年3月まで実施する。
4社は各社のリソースやノウハウを組み合わせ、女性特有の健康問題に関する正しい知識の提供と機能性化粧品やオンライン健康相談、ホルモン分析サービスといった各社のユニークなフェムテック製品・サービスを体験できるワークショップや健康状態を管理するデジタル・ウェルネスプラットフォームの構築を柱とする実証事業を行うことにした。
この事業をきっかけに女性の健康のケアの必要性やヘルスリテラシーを高める機会を増やすことで女性のウェルビーイングの実現、キャリアとライフイベントの両立に貢献したい考えだ。