特集 2022年夏季総合Ⅱ(8)/新時代に向けたわが社の素材・取り組み/検査機関/カケン/ニッセンケン/QTEC/ボーケン

2022年07月27日 (水曜日)

〈カケン/吸水ショーツの試験開始/総合的な観点で評価〉

 カケンテストセンター(カケン)は、フェムテック関連商品の一つである吸水ショーツの試験を開始した。製品と生地の試験を用意しているため、機能面だけでなく、総合的な観点での評価が可能だ。東京事業所目黒ラボと大阪事業所資材ラボで対応する。納期は約1週間と言う。

 女性特有の悩みに先進的な技術を用いた製品・サービスで対応するフェムテック分野では、さまざまな関連商品が販売されている。ただ、品質を管理する業界基準が明確ではなく、メーカーがそれぞれの評価方法で試験し、性能をうたって販売しているケースも少なくない。

 カケンは、業界団体などの会議にオブザーバーとして参加し、業界基準の一助となる「吸水ショーツ品質ガイドライン」を制定した。製品試験では法定表示事項の判定、洗濯性能、安全性、吸水量、にじみ出しなどに対応。生地試験では、染色堅ろう度やホルムアルデヒドなどに応じる。

 フェムテックの関心は高く、問い合わせも多い。顧客の要望を見ながらになるが、授乳パッドなど、吸水ショーツ以外の商品の試験も増やす。「最終的には経血用ショーツなどへの対応を目指す」としている。

〈ニッセンケン/インド国内向けなど健闘/対応できる試験増やす〉

 ニッセンケン品質評価センター(ニッセンケン)は、中国やASEAN地域、南アジアなど、海外に多くの拠点を持つ。新型コロナウイルス禍で混乱が生じているが、健闘を見せる拠点もある。その一つがインド・ジャイプル事業所で、インド国内向けや欧州向けが伸びている。

 同国では、2014年にジャイプルに試験ラボを開設。以来、インド製品の品質安定化のサポートに取り組むなど、繊維分野で重要な役割を果たしてきた。インド繊維省テキスタイルコミティと連携しており、現在は日本からインドへ進出する企業への情報提供など、各活動を加速している。

 試験・検査も堅調な動きを示しているが、中でも目立つのが、全体の約30%を占めているというインド国内向けと欧州向け。日本向けはもちろん、国内向けと欧州向けを含めてインドは強化する方針で、機能性試験を中心に対応できる試験を増やしていく。

 南アジアではバングラデシュの首都、ダッカに事業所を持つ。バングラデシュは日本向けが中心だが、欧州向けの拡大を狙う。中国では、中国国内市場向けを強化するとし、「抗菌試験の幅を広げる」のをはじめ、機能の高度化を図る。

〈QTEC/アウトドア用品の試験強化/テントなど幅広く対応〉

 日本繊維製品品質技術センター(QTEC)は、アウトドア分野の品質試験を強化している。キャンプ用テント(宿泊テント)のSGマーク認証試験のほか、幅広い用品の試験に対応できる体制を整えている。今後も「キャンプ・アウトドア用品の試験と言えばQTCを想起してもらえるよう」試験の充実を図る。

 キャンプ用テントのSGマーク試験は、製品安全協会が従来の基準を改正して昨年6月1日付で運用を始めたSG基準に基づいている。QTECは、製品安全協会から指定検査機関に認定され、同年に認証試験業務を開始した。試験依頼の件数は想定の2倍以上に達している。

 1時間60ミリという降水量でも漏水しない耐降雨性試験や生地の引き裂きに関する試験がそろう。顧客の声に応じる形で独自試験を増やしており、耐風性を確認する試験や炭火による火の粉防融試験、光拡散試験などを用意する。

 寝袋やキャンピングチェアにも対応する。寝袋では、人工地面の上に設置したサーマルマネキンを使用した保温性試験を行う。キャンプテーブルの耐久試験やクーラーボックスの保冷性試験など、繊維関連以外の需要にも応じる。

〈ボーケン/試験方法もDXへ/オンラインで工場QCサポート〉

 ボーケン品質評価機構(ボーケン)は、試験方法のデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進する。工場品質サポート業務でもオンライン化を実現した。

 同機構が積極的に取り組む試験の一つが金沢工業大学と共同開発したペプチド分析による獣毛鑑別。目視に頼る顕微鏡法では難しかった獣毛の鑑別が可能になり、定量的で高精度なデータを提供できる。2018年に国際標準規格(ISO)化されており、今後、日本産業規格(JIS)が制定される予定だ。

 フェムテック分野では人工血液による吸水ショーツの防汚性試験を開始した。pHコントロール性の評価方法の開発も進め、22年度上半期には開発を完了する見通し。キュプラとリヨセルの鑑別法も開発し、20年にISO化され、現在はJIS化が進められている。

 品質支援事業本部が担う工場品質保証(QC)サポート業務のオンライン監査も実現した。高性能360度カメラを活用したもの。新型コロナウイルス禍によって現地に出張しての監査・指導ができない中、要望が増えている。きめ細やかな監査が実現した。こうした取り組みも含めて、依頼企業の企画開発をサポートするソリューション型ビジネスに取り組む。