大和紡績の合繊帆布/ラインアップ拡充/引き続き主力商品として重点
2022年08月10日 (水曜日)
大和紡績の産業資材事業本部が、合繊帆布のラインアップを拡充している。社会情勢の変化から合繊帆布に求められる機能も多様化しており、これに応える多機能帆布の開発と提案に力を入れる。
同社の合繊帆布はトラック幌・シートや工業用カバー・シートが主力用途。定番商品である高耐久合繊帆布「ダイワボウファイナル」は高い評価を得てきた。近年、合繊帆布に求められる機能が一段と多様化している。物流業界では人手不足や高齢化社会を背景に作業者の高齢化が進み、従来以上に作業負担の軽減による労働環境の改善が求められる。
こうした要請を受け、新たに超軽量合繊帆布「エアフェザー」を開発。重量は1平方㍍当たり390㌘を実現した。同社の汎用品と比べて33%軽量となる。
合繊帆布は基本的に商社・代理店を通じての販売となるが、エアフェザーは物流業界への直接提案にも取り組むことで商品特徴の訴求に力を入れる。
軽量性、防炎性、高視認性を併せ持つ多機能帆布「エアベース」もラインアップに加えた。重量は1平方㍍当たり460㌘と同社の汎用品と比べて20%の軽量化に成功し、防炎性も付与した。従来品は色展開が少なかったが、エアベースはパステルピンクなど産業資材用帆布としては珍しい色を含めた11色を用意し、高視認性を確保している。
トラック幌・シートのほか、カラーバリエーションを生かした野外天幕、屋内での防炎性が求められる工場の大型機械類のカバーなどに提案する。産業資材分野だけでなくかばん地など雑貨用途への販売にも取り組む。
同社の合繊帆布販売は新型コロナウイルス禍からの経済正常化の流れを受けて2022年度(23年3月期)に入って回復基調にある。ただ、トラック幌・シートは世界的な半導体不足によるトラック生産台数減少の影響で勢いがない。幌・シートが必要な平ボディーやオープントップ型のトラック需要自体にも限界がある。
依然として楽観できない事業環境が続いているが、同社では引き続き合繊帆布を主力商品の一つと位置付け、積極的な提案に取り組む。ラインアップの拡充を生かし、商社や販売代理店とも連携しながら合繊帆布の需要掘り起こしを目指す。