技術の眼/アシックス/東京ソワール/藤栄/帝人フロンティア/ディーブレス/豊田通商
2022年08月16日 (火曜日)
「技術の眼~NEW WAVE GENERATING TECHNOLOGY~」では将来的にニューウェーブを巻き起こしうる重要な技術にスポットを当て、紹介する。
〈アシックス/疲労軽減サンダル〉
アシックスはこのほど、アシックススポーツ工学研究所が培ってきた知的技術と3Dプリンターを使った新たな製造方法を組み合わせた競技やトレーニング後の体をリラックスさせるなど、次のパフォーマンスへの準備におすすめのアフターパフォーマンスサンダル「アクティブリーズ3Dサンダル」を開発した。
同サンダルはパラメトリックデザイン手法と高度な3Dプリント技術によって実現した先進的な構造に特徴がある。
立体的かつ厚みのある格子構造を重ね合わせることで、優れた通気性と柔らかさを持たせながら、部位に応じて硬さを変えるなど足の負担軽減を図る機能性を追求した。
特に、複数のサンダルやシューズにおける温湿度の比較試験では、同サンダルが足裏の湿度と温度を低く保てるという通気性に優れた結果が得られた。価格は9900円、カラーはブラック×ブラック、サイズはS、M、L、XL。
〈東京ソワール/畳めるフォーマル〉
東京ソワールがクラウドファンディングサービス「マクアケ」で購入者を募集した「たためるフォーマル」に、429着の注文が入った。購入総額は1436万円。婦人フォーマルウエアでは異例のヒットとなった。
東京ソワールでは、先行販売の初回準備数140着に加え、9、11月発送分として290着を追加。当初の目標金額は30万円だったが、想定を大きく上回った。
畳んで持ち運びができるブラックフォーマルウエアとして、伸縮性など四つの仕様に特化している。表地には、ユニチカが展開する発色性に優れたポリエステル素材「ゼログ」を使用。通常のブラックフォーマルで使用する布帛素材と比較し、約5倍の伸長率を持つと言う。
シワになりにくくコンパクトに折り畳むことが可能。付属のポーチに収納し、移動先での葬儀にも着用できる。体形を選ばない分量感のあるデザインに仕立てたほか、家庭洗濯も可能。
〈藤栄/海も守る洗濯ネット〉
生活用品商社の藤栄(東京都目黒区)は、ドイツのランドリー用品ブランド「フレディ・レック」から、マイクロプラスチックの排出を大幅に削減する洗濯ネット「ランドリーネット・マイクロ」を発売した。ネットの生地がフィルターの役割を果たす。
同商品には、直径0.025ミリという極細の特殊なナイロンを使用。超微細な編み目を作ることで、洗濯する衣類から流れ出るマイクロプラスチックの量を削減する。洗濯時の摩擦・摩耗を抑え、衣類の傷みや繊維の脱落を防ぐ。
同商品の開発を機に、伊藤忠ファッションシステムが取り組む「レス・マイクロプラスチック」プロジェクトに参画した。同プロジェクトの協力によりマイクロプラスチック削減量について厳密な試験を重ね、排出量85%削減という実証成果を得た。フレディ・レックの商品を取り扱う全国の生活雑貨量販店をはじめ、公式オンラインショップなどで販売中。
〈帝人フロンティア/アラミド繊維製RFIDタグ〉
帝人フロンティアはRFID(無線通信による商品の個別管理システム)タグのブースターアンテナにアラミド繊維による導電糸を使用することで耐久性と柔軟性を持たせた高強度RFIDタグ「レコ タグ」を開発し7月から販売を開始した。
レコ タグにはアラミド繊維を芯にして銅メッキを施した導電糸を束ねてフッ素樹脂コーティングしたアンテナ線を使用しているため、数十万回の屈曲が可能になるなど高い強度、高弾性、耐熱性を発揮する。高温洗浄・乾燥が必要な工業洗濯を行う製品に使用することもできる。
ラベルの基材にポリエステル繊維を使用することで一般的な樹脂コーティングのRFIDタグに比べ薄く軽く仕上げることができる。柔軟性もあるため、衣料製品に直接ミシン掛けが可能で、取り付け部分の当たりやごわつきもほとんどない。
製品サイズは約62×約20ミリ。周波数帯はUHF帯。
〈ディーブレス/新・体圧分散敷パッド〉
寝具などを企画・販売するディーブレス(東京都中央区)はこのほど、手持ちのへたった敷寝具の上に敷くだけで新品のような弾力性を提供する「すばらしきしんぐ オールシーズン体圧分散敷パッド」を発売した。
わずか1.5センチという薄さで体の沈み込みを防ぎ、体圧を分散して肩や腰への負担を軽減。旭化成アドバンスの3次元立体編み物「フュージョン」を中芯に採用したことで実現した。「腰がつらくて眠れない」「朝起きると腰が重い」という人に特化して訴求する。
フュージョンは、形態回復性に優れ柔らかいPTT(ポリトリメチレンテレフタレート)を80%配合した特殊なポリエステル製で、2枚の編み地を弾力性に富んだ糸でつなぎクッション状にしたもの。床ずれ防止用に介護現場でも長年用いられているという。3次元立体編み物による空気層が、夏場は湿気を逃し、冬場は下からくる冷気を遮断する。
〈豊田通商/エアバッグ端材を再利用〉
豊田通商は、再生素材メーカーのリファインバース(東京都中央区)からエアバッグのリサイクル技術のライセンス供与を受け、エアバッグの製造時に発生するナイロン端材のリサイクル事業をベトナムで開始する。
エアバッグの材料に使われるナイロンの多くはシリコンなどがコーティングされた複合繊維であるため、リサイクルが困難で大半は廃棄されていた。豊田通商のベトナム現地法人が運営するエアバッグの製造工場でも、年間560㌧の端材が発生しているという。
リファインバースは、ナイロン製エアバッグから異物を高度に分離・除去し、高品質なナイロン樹脂としてマテリアルリサイクルする量産技術を独自開発した。
今回、豊田通商はリファインバースから技術供与を受けることで基本合意し、2023年4月からベトナムでのリサイクル事業に着手する予定。