帝人フロンティア・衣料素材本部/海外市場向け過去最高に/機能素材の浸透や円安で
2022年09月05日 (月曜日)
帝人フロンティアの衣料素材本部が海外市場向けの販売を大きく伸ばしている。アウトドア分野を中心に顧客が増え、採用される素材の幅も広がった。為替が円安に振れていることも追い風になっている。2023年3月期の海外市場向けは前期と比べて3割弱伸びると予想し、衣料素材本部として過去最高の数字での着地を目指す。
衣料素材本部の海外市場向け販売は、緻密でフラットな表面とかさ高性などが特徴の「デルタ」を軸に展開してきた。これまでは「大手顧客にデルタが採用されるのがメイン」だったが、快適保温生地「サーモフライ」や綿調ポリエステル生地「アスティ」などに広がり、顧客数も増えてきた。
サーモフライは、保温力と汗処理を両立した生地。繊維の抜け落ちが起こりにくいため海洋プラスチックごみになりにくい。再生ポリエステル長繊維を使ったアスティは、原糸・加工技術などを駆使して綿の外観と風合いを再現しているほか、繊維が抜け落ちにくいのも特徴だ。
これらの素材は、機能面と環境への負荷が小さいことが評価され、欧米市場を中心に販売が堅調に推移している。衣料素材本部では、原料分野の海外市場向けも良好。「7月以降は円安の影響も顕在化してきた」とし、衣料素材本部として海外市場向けの過去最高の更新は十分に狙えるとみる。
海外市場向けは、今期だけではなく継続して強化する。日本からの輸出に加えて、ASEAN地域からの展開を増やす。このためタイでの織物、インドネシアでのニットの生産キャパシティーを増やす。アラミド繊維を使った防護衣料を軸にASEAN地域でのユニフォームの販売を拡大する。