東洋紡 高性能繊維事業/「ツヌーガ」原着を強化/「ザイロン」も増産検討
2022年09月06日 (火曜日)
東洋紡は年産1500トンから同2千トンに増設し4月から新設備を立ち上げた超高強力ポリエチレン繊維「ツヌーガ」で原着糸による新規用途の掘り起こしを強化し「2~3年後にフル稼働させる」(黒木忠雄執行役員エアバッグ事業総括部長兼高機能ファイバー事業総括部長)。PBO繊維「ザイロン」では、既に販売量を新型コロナウイルス禍前の1・5倍になっており、設備更新時に年産200トンを同300トン前後に引き上げることを検討する。
同社はツヌーガ、超高強力ポリエチレン「イザナス」、ザイロンという3タイプの高性能繊維を展開する。年産能力はそれぞれ2千トン、200トン、千トン。工場で使う耐切創手袋を主力とするツヌーガは自動車関連で苦戦するものの、イザナス、ザイロンの販売は2021年度から回復に転じた。
ツヌーガは耐切創手袋に続く用途の開拓を急いでおり、白、黒、ブラウン、グレーの4色を構える原着糸でアウトドア用途へのアプローチに力を入れる。米国からの引き合いがあり、サンプル出荷を始めた。23年度から販売する。
ザイロンは自転車(ロードレーサー)用チューブレスタイヤ向けの販売を大きく伸ばすほか、パラスポーツ用車いす(ホイール)向け、卓球のラケット向けの販売が堅調に推移する。
米デュポンの日本法人であるデュポン・スペシャルティ・プロダクツに消防服向け素材として独占的に供給することで合意しており、デュポンがザイロンで開発した新素材「ノーメックス・エクストリーム」を6月、ドイツのハノーバーで開かれた消防関連の展示会・インターシュッツに出品。欧州での拡販が見込めるという。
イザナスは新型コロナ禍に伴う特需が釣り糸で発生しており、22年度は「コロナ禍前の1・2~1・3倍に伸びる」と見る。釣り糸向けの新素材「SF700」でユーザー側の評価が終わり、23年度からサンプルワークに取り組む。