三起商行/産院へのアプローチ強化/夏物から価格改定に着手
2022年09月09日 (金曜日)
三起商行(大阪府八尾市)の木村晧一社長は7日、本社で記者会見し、少子化に伴い国内需要の漸減傾向が見込まれることから、今後は産婦人科医院へのアプローチを強化し「ミキハウス」関連アイテムの販促に取り組んでいく方針を示した。
同社はこれまで百貨店を中心に子供服ビジネスに取り組んできたが、新型コロナウイルス禍で百貨店の売り上げが低迷しており、今後は産院で妊産婦が使う肌着やタオルを自社製品に置き換え「口コミでその良さが伝わっていく」取り組みに力を入れる。新型コロナ禍の収束以降「各地域におけるナンバー1、2の産院をターゲットとする」(木村社長)販促を本格化させる。
2022年度(23年2月期)は当初計画通りの売上高170億円を確保できる見通しとなった。22年度で海外売り上げが国内売り上げを上回り、販売点数ベースの海外比率が60%前後に増えると言う。
「協力工場にもう少し豊かになってもらう」ため、22夏物から価格改定に着手。販売点数は減っているが、値上げ効果で客単価が上がり売り上げ維持につながっている。
22年度は8月10日から新ブランド「チエコサク」を販売している。売り上げの70%を海外が占めるとみており、中国市場に向けたファッションショーを現地で近々開催する。同社は現在、海外に90店舗を構えており、下半期に10店舗をオープンすることで100店舗に拡大する。
〈「ミキハウス」/ベビーでハイエンド市場深耕/対面販売を重視〉
三起商行は、今春に発表した新生児・幼児向けの高価格帯ブランド「ミキハウス ゴールドレーベル」の展開を本格化させている。主力販路の百貨店と連携を深め、売り場に相談スペースを設置し対面型販売を重視する。出産準備段階からの顧客を取り込むほかベビーカーやベッドなど衣料品以外の他社製品も含めたワンストップ型の売り場作りを進める。
「ゴールドレーベル」は8月以降、大阪、名古屋、東京の有力百貨店と本社内直営店に常設売り場を開設した。あべのハルカス(大阪市天王寺区)の売り場では、海外バイヤーの代理購買がけん引し、8月単月で予想を大きく上回る売り上げを計上するなど好調な出だしとなった。
今後、百貨店では外商を通じたベビー関連商品のセット販売も行うほか、想定される購買層に向け、ピンポイントに情報を発信、全国各地の百貨店での催事参加、期間限定店舗の開設も進める。常設売り場では、新型コロナウイルス禍の収束によるインバウンド需要の回復も見込む。
このほど本社で開いた23春夏展示商談会では海島綿や麻の別注糸使いなどで夏の快適さを強調した。デニムジャケットなどの外出着では落ち着いた青系の色使いとし、ミキハウスのブランドの中でも一格上のイメージを打ち出す。
原料・素材での差別化に加え、撚糸構造による風合い向上、一部製品に接結天竺を採用するなどの手法で、「着心地の良さで親の愛情を伝えられるよう、コストを度外視した」(ブランド担当者)製品をそろえた。