北陸ヤーンフェア(3)/東レ/ユニチカトレーディング/帝人フロンティア/旭化成アドバンス

2022年09月27日 (火曜日)

〈ナイロンでケミカルリサイクル/来年1~3月から本格生産/東レ〉

 東レはサステイナブル糸を柱に、繊維の細さや形をナノレベルで制御する複合紡糸技術「ナノデザイン」、北陸産地との取り組みによる特殊生地、東レ合繊クラスタ―との共同開発品の4テーマで展示する。各テーマとも約15点の商品を出品する予定。

 サステイナブル糸は前回展でペットボトルからのリサイクル「&+」(アンドプラス)を軸に再生ポリエステル糸の幅広い品種を紹介した。今回展は特にナイロンのサステイナブル糸を充実させ、リサイクルやバイオ由来糸などを紹介する。

 ナイロンのリサイクルは工場から出る繊維くずを使ったマテリアルリサイクル糸を展開していたが、新たにケミカルリサイクル糸の生産を来年1~3月から本格的に開始する。まずは回収した漁網を使う。ケミカルリサイクルなのでさまざまな品種に対応できる。

 バイオナイロンでは、トウゴマ由来のセパシン酸、トウモロコシ由来のペンタメチレンジアミンを原料とするバイオ原料100%使いのナイロン510「エコディアN510」や部分バイオナイロン610「エコディアN610」などを紹介する。

 ナノデザインの複合紡糸は、機能性や見た目を高める方向で開発を進めており、今回展ではシルキー調や吸湿機能、ギガダルなどの糸を紹介する。

〈「エコフレンドリー」紹介/「Z10」のエコ版も/ユニチカトレーディング〉

 ユニチカトレーディングは、特殊糸を中心にサステイナブル糸のバリエーションを広げている。今回展では実際に販売する糸の、具体的なラインアップを生地や製品にして紹介する。

 再生ポリエステル「エコフレンドリー」を柱にサステイナブル糸の幅広いバリエーションを紹介する。今回は、全体の50%を再生ポリエステルに置き換えたバイメタル構造ポリエステル繊維「Z10」を出品する。Z10で展開する各バリエーションで従来と同じ性能で再生ポリエステル化を実現した。

 マイクロファイバー「EQ」の再生ポリエステル版も展示する。再生ポリエステルで単糸1デシテックス(T)以下も可能としており、会場では33T級のストレッチ糸なども展示する。エコフレンドリーによる「ルミエース」や「サラクール」などの機能糸もそろえる。

 植物由来原料を使ったサステ糸の具体的な販売も始まった。ナイロン11「キャストロン」は44Tや78Tの加工糸の展開を開始。PLA「テラマック」は78Tの加工糸の販売を始めているが、今回展では33Tでタフタに使える糸も紹介する。

 長繊維だけでなく短繊維でもサステイナブル商品を拡充している。シキボウとの共通ブランドで展開する生分解性ポリエステル「ビオグランデ」を使った紡績糸なども展開していく。

〈タイで再生糸一貫生産/製造工程も環境配慮/帝人フロンティア〉

 帝人フロンティアは、環境戦略「シンクエコ」に沿い、環境負荷低減に向けた取り組みに力を入れている。今回展では再生ポリエステル「エコペット」を軸に、生産拠点であるTPL(タイ)の体制などを含め、総合的にサステイナビリティーへの取り組みを紹介する。

 TPLでは、マテリアルリサイクル糸の一貫生産が始まった。タイ国内で回収したペットボトルから高品質な再生チップを生産できる形にしており、展開するポリエステル差別化糸のほぼ全品種が生産可能。足元ではファッション用途で「トリクシオン」「ラチェット」、スポーツ・カジュアルでは「エアロカプセル」「カルキュロ」などが堅調に推移している。今回展ではこれらを含めたリサイクルの差別化糸を幅広く紹介する。

 TPLは生産工程における環境負荷低減も重視し、石炭からのエネルギー転換などCO2排出量削減に向けた取り組みを進めている。これらの取り組みも紹介し、環境配慮型の工場でサステイナブルな差別化糸が一貫生産できる点も訴求する。

 短繊維では昨年に吸収合併した旧東邦テキスタイルの商品も展示する。吸湿発熱素材「サンバーナー」「ソリストヒート」の紡績糸のほか、かさ高性の高い綿調ポリエステル「マーフィル」のポリエステル100%糸、ポリエステル綿混糸などを紹介する。

〈ジアセ中心に出品/リサイクル原料使いも/旭化成アドバンス〉

 旭化成アドバンスは、ジアセテート長繊維「ナイア」、前回展で発表した短繊維「セルン」を紹介する。ブースには生地40~50点を置く予定。北陸ではキュプラ繊維「ベンベルグ」、レーヨン、ジアセテートを中心に販売し、各素材とも堅調に推移するが、今回展はジアセテートに絞って紹介する。

 生分解性などサステイナブル糸としても注目されているナイアは今期も順調に販売量を伸ばしている。現在はファッション用途を柱とするが、今後は資材、インナー、スポーツ、寝装など展開用途を広げていく考え。織物向けが多いが、ニットでの取り組みも強化している。

 ジアセテート短繊維のセルンは、前回展で発表し、新しい糸としてさまざまな用途で注目を集めた。紡績糸はジアセテート100%を中心にポリエステル混、ウール混、シルク混などをそろえ、織物、丸編み、横編みなどさまざまな生地で試作が進められている。

 環境負荷をさらに下げた「ナイア レニュー」の展開も始まった。アセテートは、パルプを原料に酢酸と反応させて作るが、レニューは廃棄されるカーペットなどから酢酸を抽出し、パルプと合わせて作る。今年から糸在庫を持って販売を開始しており、在庫する糸種を今後広げていく。

 ジアセテート短繊維「セルン レニュー」の提案も始まっている。