技術の眼/帝人フロンティア/オンワード樫山/カンロ/空調服/ハンボ/イメージ・マジック
2022年10月04日 (火曜日)
「技術の眼~NEW WAVE GENERATING TECHNOLOGY~」では将来的にニューウェーブを巻き起こしうる重要な技術にスポットを当て、紹介する。
〈帝人フロンティア/世界初の環境配慮型タイヤコード〉
帝人フロンティアはこのほど人体や環境に影響を及ぼす可能性があるとされるレゾルシン・ホルムアルデヒド(RF)を含まない接着剤を用い、ゴム補強繊維にケミカルリサイクルポリエステルを使用した環境配慮型のタイヤコードを開発した。RFフリーの接着剤とケミカルリサイクルポリエステルを組み合わせたタイヤコードの製品化は世界初という。
同社は2008年に世界初となるケミカルリサイクルポリエステルを使用するタイヤコードを、20年にはRFフリーの接着剤を開発するなどタイヤをはじめとするゴム製品用途向けに環境配慮型素材・製品の開発を進めてきた。
このほど、これらの技術を融合しRFフリーの接着剤とケミカルリサイクルポリエステルによるタイヤコードを開発し、タイヤ製造プロセスにおける環境負荷低減を実現した。
〈オンワード樫山/布製ヒーター搭載ユニセックスウエア〉
オンワード樫山は自社ECを中心に展開する婦人服ブランド「アンフィーロ」で、22秋冬から紳士服とユニセックスウエアのラインを本格的にスタートさせる。ユニセックスラインの新商品の目玉は布製ヒーター「ホットピア」を搭載したアウター。
同アウターはヒーター部の布が発熱すると、熱伝導に優れた繊維を通じ全体に熱が広がる仕組み。電熱線ヒーター型のような硬さはなく、柔らかな生地感触を実現した。スマートフォンで温度を4段階で調節できる。軽い着心地で撥水(はっすい)加工を施している。
紳士向けはシーンを限定しない伸縮性のあるパンツを軸に15型を提案する。パンツの中心価格帯は7990円~1万1990円。ジャケットやコートなどもそろえる。
オンワードグループ公式通販サイト「オンワード・クローゼット」に加え、期間限定店などを通じて、今秋冬からブランドの認知度アップや拡販に一段と力を入れる。
〈カンロ/未利用資源で日用品〉
菓子製造販売のカンロ(東京都新宿区)は、直営店「ヒトツブカンロ」で、規格外で販売不可能な飴(あめ)などを活用したウエットティッシュ、生分解性素材のハンドタオルなどを発売した。環境を考えたサステイナブルの新ライン「ヒトツブカンロ アース」として展開する。
同社は環境配慮の取り組みの一つとして、“キャンディーから始まる循環型経済”の実現を目指している。
ヒトツブカンロ アースもその一環。ウエットティッシュ(200円)には、規格外で販売できないカンロ飴と休耕田で生産した米を発酵・精製したエタノールを使った。独自の発酵技術で未利用資源を再生・循環させるファーメンステーション(東京都墨田区)との協業で実現した。
ハンドタオル(千円)の原料はカンロ飴由来ではないが、サトウキビやトウモロコシなどを原料とした生分解性素材「プラックス」を使用している。
〈空調服/着ぐるみ専用EFウエア〉
電動ファン(EF)付きウエア「空調服」を展開する空調服(東京都板橋区)は、着ぐるみ製作会社ゴーゴープロダクション(同武蔵野市)と、「空調服(着ぐるみ専用)」を共同開発し発売した。特許を出願中。
通常アウターとして使用する空調服だが、イベントなどに登場するキャラクターの着ぐるみに着用する場合はインナーとしての機能を追求している。これまで着ぐるみの内部に隙間がない場合は、ファンが当たってしまい、うまく風を取り込めないといった課題があった。
今製品では、狭い内部でも風が体を通る設計を施し、多様な着ぐるみの内部構造に合わせ、フレキシブルに前後3カ所でファンの位置を変更できるようにした。さらに着ぐるみ着用時のヘッドの中は、新鮮でない空気がこもりがちのため、体に回った空気が首からヘッドに流れやすい構造にした。
〈ハンボ/高機能ポリエチレン繊維開発〉
作業用手袋を製造・販売するハンボ(東京都新宿区)は、炭素系超高分子技術を応用したポリエチレン長繊維「メタルキュー」を開発した。
メタルキューは、国際特許取得の炭素系超高分子技術を応用した高性能繊維。繊維内部に炭素系材料を配合しており、ガラス繊維や金属繊維を巻き込まなくても単独で高い耐切創性を発揮する。長繊維のため、ほこりや糸くずの発生を抑える。熱伝導率が高くひんやりとした装着感が得られるのも特徴だ。
耐切創性レベルはA~F(Fが一番強い)で表すが、メタルキュー100%使いの15¥文字(G2-1007)手袋はEを誇る。耐摩耗性や耐引き裂き性、耐突刺性などにも優れている。Tシャツやポロシャツも試作中で、工場用作業着として提案する。下着、靴下、腕カバー、エプロン、アウトドア用品用途への展開も視野に入れる。
糸売りも行うとし、110デシテックス、220デシテックス、440デシテックスなどをそろえる。
〈イメージ・マジック/効率性高める折り畳み機〉
プリントサービスのイメージ・マジック(東京都文京区)は、自社開発した自動折り畳み梱包(こんぽう)出荷機「HAYATE」(はやて)の販売を開始した。衣料品を袋詰めした後に空気を抜く作業なども自動化し、出荷作業の効率性を向上させた。
Tシャツ以外にもパーカ、ポロシャツ、長袖シャツなど多様なアパレル製品の畳み作業に対応する。袋の中の空気を押し出した状態で密封することで、全体のサイズを最小化できるため、省スペースによる輸送エネルギーの削減にもつながる。
商品の納入先を記載した「送り状ラベル」を自動で張り付ける機能も搭載しており、省人化に加え人為的なミスの発生も防ぐ。
自動化により、作業者が1人で畳み、袋詰め、圧縮、送り状張り付けまでの工程をTシャツなら8.5秒で完了させることが可能だという。従来はほぼ1分間かかっていた梱包出荷作業の時間を大幅に短縮できる。