制菌&抗菌素材特集/企業別ラインナップ/シキボウ
2002年03月15日 (金曜日)
高性能抗菌の「ノモス」
抗菌性を売り物とした生地と言えば、「ノンスタック」と「ノモス」が、シキボウの2枚看板だ。前者は、20年間に渡って支持され続けてきた抗菌防臭加工生地。後者は、MRSAなど、より広範な菌を対象とした“高性能抗菌加工”加工生地だ。
「ノモス」生地は、MRSA、黄色ブドウ球菌、大腸菌(病原性大腸菌O157を含む)、緑膿菌、サルモネラ、腸炎ビブリオ、肺炎桿菌、枯草菌などが、繊維上で増殖するのを抑制することを狙って開発された。これらの菌が生地に付着すると、繊維を覆っている抗菌剤が菌の細胞壁を破壊し、内部に浸透する。結果、菌は、育成機能を阻害され死滅する。抗菌材が繊維を完全に覆っているため、菌が繊維のどこに付着しても、前述のような現象が起こると言う。
洗濯耐久性に秀でる
同業他社もこの種の生地を販売しているが、それらに比較した「ノモス」の長所は、洗濯耐久性の高さだとシキボウは言う。確かに、洗濯耐久性については、洗濯50回後までの試験結果を表示するのが普通だが、「ノモス」の商品説明書には、「洗濯を100回繰り返しても、菌を99・9%以上減菌します」と明記してある。洗濯耐久性を高めるために同社は、「そんなややっこしいことはだれしないだろうと思えるほどに、手間をかけて」加工していると言う。
加工剤の安全性については、急性経口毒性、皮膚感作性、変異原性、皮膚刺激性などの項目について確認した。また、加工生地は、その権威が世界的に認められているドイツの第3者民間検査機関、テュフ・ラインランドから、安全性試験項目(ホルマリン、遊離アミン、有毒塩素化合物、重金属、殺虫剤、除草剤、有害フェノール類の有無など80項目)のすべてについて基準値を満たしているとの試験報告書を得ている。
「ノモス」はまた、繊維製品新機能評価協議会(略称=JAFET)から、「SEK」の橙色マーク(制菌加工・一般用途)と赤色マーク(同・特定用途)の使用を許諾されている。「SEK」橙色マークの使用許諾に際しての必須試験菌種は、黄色ブドウ球菌と肺炎桿菌。同赤色マークの場合は、それにMRSAが加わる。
同社が「ノモス」を、“高性能抗菌加工”(同社呼称)を施した純綿、およびポリエステル・綿混生地として発売したのは、93年。発売以来ずっと、同社差別化素材売上高ランクの「ベスト10に毎年顔を出してきた」と言う。販売量を用途別に見ると、ユニフォーム、ニット・パジャマ、カバー・シーツ向けがそれぞれ3分の1という構成になっている。量的にも構成比的にも、10年近くに渡ってこの形を維持し続けていると言う。各用途共にこういった安定した動きを見せる例は、同社にとっても珍しいそうだ。
最長寿の「ノンスタック」
「ノンスタック」は、いわゆる抗菌防臭加工生地だ。JAFETから、黄色ブドウ球菌を必須試験菌種とする「SEK」青色マーク(抗菌防臭加工)の使用許諾を受けている。81年に発売された。発売以来20年間に渡って支持され続けてきたことになる。同社にとっても、特殊綿花使いの糸「アスペロ」(82年発売)と並ぶ、最長寿商品だ。販売規模は、バブル景気に湧いた最盛期よりは縮んでいる。しかし今でも、前述の「ノモス」同様、同社の売上高ベスト10の常連組だ。用途別では、ユニフォーム、肌着、カバー・シーツ向けが多く、それぞれ均衡している。この他に、シャツ、靴下、タオルにも使われていると言う。